テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第1247話】「ひまわりとお盆」 2022(令和4)年8月11日~20日


 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1247話です。

 「ひまわり」という映画が公開されたのは、今から52年も前の1970年のことです。イタリア・フランス・ソビエト・アメリカの合作です。主演はマルチェロ・マストロヤンニとソフィア・ローレンでした。

 物語の時代は第二次世界大戦。戦争によって引き裂かれた夫婦の行く末の悲劇を描いています。戦争が終わっても帰ってこない夫を探し、妻はイタリアから夫の戦地ソビエトへ行きます。そこで案内されたのは、地平線まで続くひまわり畑でした。多くの兵士がこの下に眠っていると教えられます。

 そのひまわり畑のロケ地は、ウクライナにあったのです。この度のソ連のウクライナ侵攻によって、半世紀も前の映画が再び脚光を浴びています。ひまわりはウクライナの国花で、侵攻への抗議の象徴にもなっています。映画では、夫は生きていましたが、決してハッピーエンドとは言えない結末でした。戦争とひまわり畑という陰と陽とのコントラストが、なんともやるせない思いにさせられます。

 さて、我が山元町は東日本大震災の津波で大きな被害を受けました。沿岸部は災害危険区域となり住まいすることができません。広大な農地になってしまいました。そこに6年前から地力増進のため、ひまわりを植えています。新鮮な植物をそのまま田畑にすき込んで肥料にするためです。その肥料に適した「サンマリノ」という品種のひまわりを、毎年異なる農地に植えています。

 今年は新浜地区で、東京ドームの1.5倍ほどの広さの農地に、200万本のひまわりが咲き誇っています。高見台から一望すると、県内最大規模のひまわり畑であることが納得できます。ウクライナのひまわり畑の影響もあるのでしょうが、平和を願って訪れたという人もいました。

 実は新浜地区は震災前は、比較的広い屋敷の家並みがきれいでした。近くの松林は別荘地にもなっていました。しかし、海に近いことが禍して、一軒残らず家屋は流されました。犠牲者も多数です。もはや戻るべきところを失い、住民は移転を余儀なくされました。そして新浜区は、震災後消滅した唯一の行政区になったのです。

 映画では、戦死者がひまわり畑の下に眠るという設定でした。新浜地区のひまわり畑あたりでも、津波の犠牲になった人が何人もいます。その意味では、映画とはまた違った感じで、津波とひまわり畑のコントラストが浮かびます。そしてお盆が近いお墓に行ってみて驚きました。多くのお墓にひまわりの花が飾ってあります。ひまわり畑の花は自由に摘むことができるので、それを供えたのでしょう。お彼岸に彼岸花があるように、夏のお盆にはひまわりが亡き人を想う花になっていくのでしょうか。ウクライナにはお盆はないでしょうが、ひまわりよ、亡き人を慰め、平和を願う地力をつけさせたまえ。

 ここでお知らせいたします。7月のカンボジアエコー募金は、741回×3円で2,223円でした。ありがとうございました。それでは又、8月21日よりお耳にかかりましょう。

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