テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第906話】「千年塔」 2013(平成25)年2月21日-28日

906.jpg お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第906話です。
 「三人寄れば文殊の智恵」でご存知のように、文殊菩薩は智恵を象徴する菩薩です。古くは貧民を救済する存在でもあったといいます。鎌倉時代の真言律宗の宗祖である叡尊は、文殊菩薩に会おうとするなら、慈悲心を起こせ。なぜなら、この世に出現する文殊菩薩は貧困で孤独な人々の姿になっているので、慈悲心のない人は、その出会いを失ってしまうからと説かれました。そして、叡尊は、ハンセン病者の救済、橋や港湾の整備、寺社の復興など、様々な社会救済事業に尽力した僧侶なのです。
 曹洞宗ボランティア会がその前身である、SVAシャンティ国際ボランティア会の生みの親・有馬実成は、仏教的社会活動のモデルを叡尊に見出していました。そしてSVAはカンボジア難民救済から始まり、海外で子どもや弱者に寄り添ってきました。国内においても、阪神大震災をはじめとする、緊急救援活動を行い、東日本大震災でも、いち早く宮城・岩手県に拠点を置き、活動を続けています。有り難い縁は巡り、昨年からこの山元町の徳本寺にSVA山元事務所が開設されました。山元町・南相馬市の仮設住宅を巡回する移動図書館活動が行われています。
 更にこの度、叡尊・有馬実成・SVA・山元町を結ぶ線が太くなったのです。日本石塔展覧会事業協同組合は「鎮魂・東日本大震災日石展」を昨年開催しました。その入賞作品を被災地に贈り、追悼の場を提供したいと願われていました。縁あって、津波で壊滅した徳本寺の中浜墓地跡に、その内の一基が建てられることになりました。それが叡尊ゆかりのものだったのです。
 奈良県西大寺に五輪塔では日本一高いといわれる「叡尊塔」があります。今から700年以上前の1290年、叡尊が90歳で亡くなった年に、その足跡を慕って建てられた供養塔です。この度、中浜墓地跡に建てられた石塔は、その叡尊塔を等身大のモデルとして、茨城の石工さんが制作した古代五輪塔です。高さは3.8メートルもあります。叡尊が今生きていたら、大いなる慈悲心を持って、震災復興に尽くしたことでしょう。五輪塔は叡尊再来を思わせる存在感があります。きっと震災で亡くなったすべての方の霊は慰められることでしょうし、被災地復興の文字通り礎になると信じます。
 五輪塔は万物の五大要素を象徴し、下の石から、地・水・火・風・空(くう)を表します。人間でいえば、からだ・血と水・体温・呼吸という四大要素で、それがうまく溶け合うのも「空」だからであり、四大不調で亡くなるのも空だからです。大震災は宇宙が千年に一度の四大不調に陥ってしまったかのようです。この度の五輪塔は、千年先までも、5つの要素が輪のごとく欠けることなく、海山千里が安泰であるように願い、震災を伝え続けられるようにと「千年塔」と名付けました。この千年塔に手を合わせ、文殊菩薩と叡尊にあやかりたいものです。智恵と慈悲は復興への二大要素です。
 さて3月2日(土)午後1時30分より、千年塔の開眼法要を中浜墓地跡で行います。みなさまのご参列をお待ち申し上げます。
 それでは又、3月1日よりお耳にかかりましょう。

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