テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第773話】「千年仏」 2009(平成21)年6月11日-20日

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第773話です。20090611.jpg
 世間は仏像ブームだそうです。もはや社会現象とまで言われた東京国立博物館で開かれた「国宝 阿修羅展」は、連日満員の盛況でした。まるでスターを見るかのように、最前列には女性が陣取り、熱い視線を注いだと言います。94万人の入場者を数えて、6月7日に終了しました。
 「阿修羅展」であれ、他の仏像展でも、おそらくは線香1本立っているわけではないでしょう。見る人はいても拝む人はいたのでしょうか。単にブームとして終わらせることなく、どんな仏像に対しても手を合わせる人が普通にいるようになればいいのですが・・・。
 さて、この度徳本寺にも手を合わせていただきたい仏像が、縁あって安置されました。それは「乾漆釈迦如来立像」です。乾漆とは漆をぬりかためて作りあげたものです。本体が約30センチ、台座を含めた全長でも50センチほどのものです。インドの仏像を手本にして、中国の北宋時代に製作され、鎌倉時代には日本に渡って来たのではないかといわれています。それがほんとうだとすれば、1500年も前に作られたもので、日本に来てからも800年も経っていることになります。
 仏さまのお顔の相や螺髪(らほつ)といわれる髪の毛が、極めてインド的雰囲気を醸し出しています。そして、着ている衣に特徴があります。普通は左肩からお袈裟(けさ)を掛けていて、右肩は露わになっています。これは目上の人に対する礼儀として、いつでも役に立つ動きやすい姿を表したものです。しかし、この仏さまは通肩(つうけん)といって、両肩に通してお袈裟を掛けています。如来さまとか目上の人が掛けるお袈裟の掛け方です。この仏さまは、まさに釈迦如来さまそのものということなのでしょう。
 それにしても、千年以上もの時代を経て、徳本寺にたどり着いた仏さま。どこかの展示会で脚光を浴びたなどということはなかったでしょうが、とても優しいお顔をしています。喜怒哀楽さまざまな思いを込めた、数えきれない人々から手を合わせていただいたことでしょう。その都度、その思いをすべて受け取って下さったのが、この釈迦如来さまです。両手は施無畏(せむい)の印といって、畏(おそ)れを除き救ってくれるお姿をしています。千年間も、人びとの苦しみを救うことに専念してこられたはずです。確かにブームだけで千年もの間存在はできません。なるほど、それならその優しいお顔もふうむと納得できます。
 ここでご報告いたします。5月のカンボジア・エコー募金は、115回×3円で345円でした。ありがとうございました。
それでは又、6月21日よりお耳にかかりましょう。

最近の法話

【第1218話】
「二面石」
2021(令和3)年10月21日~31日

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1218話です。 先般、奈良県明日香村にある天台宗の橘寺をお参りする機会がありました。付近に聖徳太子が生まれた場所があります。橘寺も聖徳太子が建てた寺院のひとつです。当然の如く本尊には、聖徳太子像を祀ってあります。建立年代は不明ですが、「日本書紀」に寺の存在が記されているので、1500年以上の歴史があるようです。 そこに「二面石... [続きを読む]

【第1217話】
「品位(ひんい)と品位(ほんい)
2021(令和3)年10月11日~20日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1217話です。 「皇室経済法6条」には、皇族が身分を離れる際には、品位保持のため一時金を支給する旨が定めれています。渦中の眞子さまが小室さんと結婚するにあたり、その一時金を辞退しました。1憶3725万円という額です。「小室家の金銭トラブル」ゆえのことなのでしょう。二人の結婚の意思は固いものの、... [続きを読む]

【第1216話】
「念仏」
2021(令和3)年10月1日~10日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1216話です。 「念仏申すより田を作れ」という諺があります。極楽往生を願って念仏を唱えるより、田んぼに出て米を作れということで、直接利益になることに精を出せということでしょう。我が町には各地区ごとに念仏講がありましたが、今や風前の灯となってしまいました。米の収穫が増えたからではなく、念仏講員が... [続きを読む]