テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第1088話】「命の行列」 2018(平成30)年3月11日-20日

住職が語る法話を聴くことができます

1088.jpg お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1088話です。
 30年以上も前、仙台市のあるお宅に枕経に伺った時のこと。二人のご遺体が並んでいて驚きました。聞くと、奥の部屋にもう一人いると言うのです。一家心中だったのです。当時の霊柩車は遺族が乗るマイクロバスに棺を納めるスペースがあるものでした。そこの遺族は少なく1台のバスで十分間に合いました。しかし棺は1台にひとつですので、3台のマイクロバスが連なって、火葬場に向かったのです。霊柩車の行列の異様さは、忘れられません。
 さて東日本大震災で徳本寺の檀家さんは、143人が亡くなりました。兼務住職地である徳泉寺は、74人でした。合わせると217人です。これは山元町全体の犠牲者の約3分の1に当たります。そして217人を世帯数でみると、138世帯なのです。つまり約38パーセントに当たる52世帯では、複数の犠牲者が出ているということです。両親・親子・祖父母と孫など、関係性は様々ですが、2人3人4人と同時に亡くしています。7人で暮らしていて、6人が亡くなり、仕事で出かけていたひとりだけが無事だったというところもあります。
 普通の葬儀であれば、一軒にひとりです。地域に限っても、一度に2人3人と同時に葬儀をすることは、稀でしょう。それがあの大震災の時は、一軒で何人も、地域でみても、あそこもここも誰それが亡くなったという状況が日常的にありました。絶対的な非日常である家族の死を目の当たりにして、悲しみ驚きうろたえないわけはありません。それがひとりでなければなおのことです。あれから丸7年経って思います。ご遺族の方はよくぞその悲惨な時をを乗り越えてこられたと。
 「一人の人間の命は地球よりも重い」と言った人がいます。同時に地球も人間の命も、この世でたったひとつです。そのたったひとつの命を、同時に2つも3つも失う辛さは想像を絶するばかりです。その辛さを超えられたのは、亡くなられた命と自分の命がつながっている有り難さを、人一倍に感じてたからでしょうか。そして自分が生きていくことが、亡き人を生かすこと、それが何よりの供養だという信念があったからではないでしょうか。
 30年前の私に戻せば、今よりはずっと修行未熟でした。命の重みを実感できていませんでした。しかし3台並んだ霊柩車に圧倒されたのです。ひとりの死の時には気づかなかった、命の重みを気づかされたのです。3人だから3倍というのではない、何十倍にも感じました。それは命の行列を具体的にこの目で見たからです。同時にたったひとつのわが命の尊さにも思い至りました。
 ここでお知らせ致します。2月のカンボジア・エコー募金は、181回×3円で543円でした。ありがとうございました。
 それでは又、3月21日よりお耳にかかりましょう。

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