テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第1026話】「セコイとスゴイ」 2016(平成28)年6月21日-30日

住職が語る法話を聴くことができます

1026.JPG お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1026話です。
 6月15日、期せずしてセコイ日本人とスゴイ日本人が世界のニュースになりました。公私混同の見本のような政治資金の流用疑惑などで辞職に追い込まれた舛添東京都知事と、日米通算の安打数で、ピート・ローズの大リーグ最多安打記録4256安打を抜いた大リーグ・マーリンズのイチロー選手です。
 舛添氏は福岡県八幡市で5人姉弟の長男として育ちました。幼少の頃家は没落、中学2年の時、父を病気で亡くしています。「貧しさから一日も早く抜け出したい」という思いで、精進を重ねます。高校時代は裸電球の下、石炭用の木箱を机に勉強し成績はトップ、短距離競技でも活躍して、東大入学という文武両道の少年でした。
 しかし、今回の騒動の発端となったのは、そのセコサ加減です。高額の海外出張費や資料と称する高額な美術品からマンガ本の購入、回転ずし屋での会議費や家族旅行も政治活動費に見せかけています。はたまた、政治資金で購入したシルクの中国服が「書道の際、この服を着ると筆をスムーズに滑らすことができる」という説明に至っては、笑止千万です。
 一方、イチロー選手は、愛知県豊山小学校6年の時の作文にこんなことを書いています。「ぼくの夢は一流のプロ野球選手になることです。活躍できるためには練習が必要です。3年生から今までは、365日中360日は激しい練習をやっています。だから一週間中友達と遊べる時間は、5-6時間です」。
 今、世界で一番安打を打った選手となり語った言葉は、「僕は子どもの頃から人に笑われてきたことを常に達成してきている、という自負がある。例えば、小学生のころも毎日野球の練習をして、近所の人からあいつプロ野球選手にでもなるのかって、いつも笑われていた。その常に笑われていた悔しい歴史を、これからもクリアしていきたいという思いはある」
 東京都知事と言えば、公人の最たる立場です。一銭たりとも公私混同するようなことがあってはなりません。それが1円でも我が懐を痛めたくないという思いで、稚拙な弁明を重ねた結果、あまりにも世の中を馬鹿にしているということで、世論の反発を招いたのでしょう。イチロー選手は良い意味で公私混同しています。大リーガー最年長の42歳でプレーする身体の管理は半端ではありません。入念過ぎるほどの日頃の鍛練があるのです。しなやかな筋肉と運動神経を維持するために、自宅でも球場でも特製トレーニングマシンに没頭しているといいます。私生活も全て野球の為と言っていいでしょう。
 ふたりとも子どもの頃から培った志は抽(ぬき)んでます。問題はその志の行方です。公私を混同して貧しい志と笑われたらセコイわけです。そんなことできっこないと笑われても、純粋に志を貫いて結果を出せば、スゴイということになります。イチロー選手は高い志という「高志」を「今度」も実現しました。
 それでは又、7月1日よりお耳にかかりましょう。

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