テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第1110話】「49日」 2018(平成30)年10月21日~31日

 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1110話です。

 古代インドでは生まれる前の存在を「生まれ有る」と書いて「生有(しょうう)」と呼びました。生きている現在は本有、死んだ時が死有です。死有から次の縁を得る生有までの間は中有です。その期間は7週間とされ、7日毎に良い縁を祈って供養が営まれました。日本でも7日毎に護ってくださる仏様を当てて、49日間の供養が定着しました。それは死んだとは思えない、どこかにいるような気がするが、迷わず死を受け入れようとするための修行期間でもあります。

 さて、この人はどこかにいるだろうと思われながら、49日間も、世間の目をくらましました。8月12日大阪府警富田林署から逃走した樋田淳也容疑者です。迷わず1000㌔を超す距離を移動していました。盗んだ自転車で四国に渡り、更に広島に入り、山口で万引きで逮捕されたのが、9月29日のこと。その間、大胆にも愛媛県庁を訪問し、「日本一周中」の看板まで作ってもらいます。高知県では警察官から職務質問を受けながら、警察官が自転車の防犯登録を怠るという「幸運」にも恵まれて、旅人に成りきっています。

 犯人にとんずらされた富田林署のとんだ話としゃれのめされたかのようです。警察の威信をかけた大々的な指名手配にもかかわらず、49日間も振り回されたのです。容疑者は7日毎に良き縁に巡り合うようにと、ペダルをこぎ続けたのでしょうか。その罪は許されるものではありません。警察も迷わず落ち度を認め、猛省すべきでしょう。

 一方、今回の事件とほぼ同じ時期に、同じ山口県の徳山港にインドネシアの18歳の青年が船で運ばれました。そのアルディ・アディランさんは、漁業用のいかだに乗って漁をしていました。しかし、7月14日強風に見舞われ、係留ロープが外れ、漂流を余儀なくされました。いかだにモーターもなく、食糧も数日分しかありません。海水を飲んだり、魚を取って生き延びていました。漂流中は怖くて何度も泣き叫んだそうです。大型船を見る度に希望を持つも、気づかれず10隻以上が通り過ぎていきました。ようやく8月31日に約2500㌔も離れたグアム島沖で大型船に発見救助されました。これまた49日目でした。たまたまその船の行き先が山口だったのです。

 アルディさんは、7日毎どころではない、10隻以上の船を空しく見送り、その度に絶望感にさいなまれたことでしょう。しかし、必ず次は良い縁が来ると信じ続けたのでしょう。家族の方はアルディさんがいなくなったとは、とても信じられないと思い続けたはずです。現在は無事家族と再会を果たせたそうです。

 仏教で49日間は、死んだ命についても、生きている命についても特に想いを込める期間です。罪を逃れるために49日間命を懸けても、良い縁は続きません。いかだで漂流し生き延びた49日間の命の懸け方にこそ、いかでか幸いあらんことをと願うばかりです。

 ここでお知らせ致します。10月28日(日)午後2時徳本寺にて、第12回テレホン法話ライブを開催いたします。ゲストは、動物ものまねの江戸家まねき猫さん。入場無料。ピアノ演奏にのせて、直接テレホン法話をお伝えいたします。

 それでは又、11月1日よりお耳にかかりましょう。

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