テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第1001話】「峨山道伝説」 2015(平成27)年10月11日-20日

1001.JPG お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1001話です。
 今年春の北陸新幹線開業の翌日、3月15日にその北陸の石川県能美市で行われた陸上全日本競歩能美大会において、鈴木雄介選手が20km競歩で、1時間16分36秒という世界新記録を樹立しました。日本陸上男子で世界記録を出すのは実に50年ぶりのことです。能美市は競歩が盛んで、鈴木選手も小学生の時から始めていました。
 さて、今から700年近く前のこと、石川県羽咋市にある永光寺(ようこうじ)から、能登の門前町にある總持寺に到る13里(約52km)の山道を、毎朝通った方がいます。大本山總持寺の二祖峨山韶碩禅師(にそがさんじょうせきぜんじ)です。早朝3時ごろ永光寺のお勤めを終えて、山野を踏破して總持寺に到り、そこでもお勤めをなさったのです。超人的な行状です。この往来の道を「峨山道」といいます。石川県の競歩の歴史はこのころからあったのかと思えるほどです。
 伝説的な話ではありますが、それを裏付ける作法が今も大本山總持寺には伝わっています。「大悲真陀羅尼」というお経を、普通の3倍くらいの時間をかけてゆっくり読む「大悲真読」というお経の読み方です。峨山禅師をお待ちする間、できるだけゆっくりお経を読み、到着と同時に普通の速さに戻すというものです。
 峨山禅師は49歳で總持寺の2代目の住職となられ、91歳で亡くなられるまでの42年間、その任に当たりました。そして65歳の時、永光寺の住職も兼務して以来、3度兼務住職となられ、峨山道を往来し、両寺の維持発展に努めました。何より多くの優れた弟子を育てられました。
 曹洞宗を開かれたのは、永平寺の道元禅師です。その教えを受けて、全国に曹洞宗を広められたのは總持寺の瑩山禅師です。しかし、瑩山禅師は總持寺では、3年間住職をしただけです。その後を継いだ峨山禅師が、実質的な全国展開の立役者と言えるでしょう。それには25哲と称される25人もの俊才を輩出した信望と力量があったからなのです。その弟子たちが全国に教線を拡大して、曹洞宗を大きく発展させる礎を築かれたのです。
 曹洞宗では祖師の功績を偲んで、50年毎に「大遠忌(だいおんき)」という節目の大法要が営まれます。この10月20日は峨山禅師の650回大遠忌に当たります。この度の大遠忌のテーマは「相承(そうじょう)」です。仏の教えを師匠から弟子へ受け継ぎ伝えていくことを意味します。峨山禅師が瑩山禅師から相承したものを、更に多くの弟子たちに伝えるべく、日夜力を尽くした姿が、「峨山道伝説」を生んだのでしょう。その大遠忌は、日本陸上男子の50年ぶりの世界新記録と同じように、遭い難き素晴らしいご縁の巡り合わせです。次の大遠忌は50年後です。果たしてその頃私たちは・・・。
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それでは又、10月21日よりお耳にかかりましょう。

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