テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第759話】「玄関の言葉」 2009(平成21)年1月21日-31日

 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第759話です。
 1月8日の河北新報(※)に「カンボジアに小学校建設」「17年の活動支えた亡き母にささぐ」という4段抜きの見出しが躍っていました。一昨年2月、私がボランティアの関連でカンボジアに行っている時に、母は危篤状態になり、間もなく亡くなりました。そいうこともあり、母の追善供養にカンボジアに小学校を建設しようと発願致しました。昨年11月ドップ・トノット村に小学校1棟5教室が完成。12月8日現地で贈呈式が行われました。そのことが新聞で紹介されというわけです。
 その日は早朝から、「新聞見ました。お母さんもお喜びでしょう」などという電話を何人もの方からいただきました。また、私はちょうど年始廻りで、お正月のお札を檀家さんに配り歩いているときです。行く先々で「新聞を見ました」「立派な学校ですね」などと声をかけていただき、嬉しい限りでした。
 そんな皆さんの温かい言葉に寒さも忘れて、Aさんのお宅に伺った時のことです。玄関に入ってびっくりしました。「静かなる枝に 佳き花の 香るらん」という文字が紙に書かれて張り出してありました。それは贈呈式の折に、小学校の校庭に木製の記念碑を作ったので何か書いて下さいと言われ、私が即興で書いた言葉です。その記念碑の写真も新聞に掲載されました。その言葉はドップ・トノット・シズエ小学校という学校名に因んだものです。「シズエ(静枝)」は亡き母の名前です。
 Aさんはおっしゃいます。「新聞に載ったこの言葉が気に入って思わず書き写しました。間もなく和尚さんが年始廻りにいらっしゃるだろうからと私の気持ちを伝えたくて、こうして玄関に貼っておいたのです」。母の名前と戒名から字をいただいて、五七五と並べただけの言葉でしたのに恐縮致しました。ただ、「静枝」という名前に掛けて、カンボジアの子どもたちには、素直な心で、みなさんの人生というそれぞれの枝に佳い花を咲かせてもらいたいという願いは込めたつもりです。
 曹洞宗の教えには「愛語」というのがあります。母親がわが子をいとおしんでかける言葉には何の邪念もありません。うれしいときはうれしいように、悲しいときは悲しいように、心から出る言葉が愛語です。「新聞を見ましたよ」と電話や直接お声をかけていただき、それも愛語に思えました。それが更に、伝えたい言葉を書き出して出迎えて下さるとは、何というおもてなしでしょう。もうその玄関には、暖かい春の佳き香りが漂っているかのようでした。「玄関に "迎え言葉"貼る 佳き人かな」
それでは又、2月1日よりお耳にかかりましょう。
 「行事」 のページをご参照下さい。

最近の法話

【第1214話】
「失ったものを数えない」
2021(令和3)年9月11日~20日

news image

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1214話です。 そのラストシーンは感動的で強く印象に残りました。40年前に見た「典子は、今」という映画です。両腕を失ったサリドマイド児として生まれた典子が、船から海に飛び込み、大海原をひとり泳ぐのです。両足だけで力強く泳ぐ姿を、上空のカメラが捉えています。そこに本人も歌っている映画のテーマソングが流れます。彼女の行く末に無限の可... [続きを読む]

【第1213話】
「一茎菜の命」
2021(令和3)年9月1日~10日

news image

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1213話です。 時恰も宮城県で緊急事態宣言が発令された8月27日、仕出し業者から封書が届きました。「コロナ禍で仕出しの形態も様変わりし、新しい生活様式に適応すべく様々な経営努力を行ってまいりました。しかし厳しい状況は続き苦渋の決断として、廃業することになりました」という挨拶状でした。 長年、... [続きを読む]

【第1212話】
「ヒマワリ」
2021(令和3)年8月21日~31日

news image

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1212話です。 昔のこと、田植え前の田んぼ一面にレンゲの花が咲いていたのを覚えています。米が実ったり花が咲いたり、田んぼはすごいと思ったものでした。しかし、あれは自然発生のレンゲではなく、栽培していたものだったのです。いわゆる「緑肥」です。植えた植物を肥料として土壌に入れたまま耕すものです。 ... [続きを読む]