テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第1086話】「千個目の金メダル」 2018(平成30)年2月21日-28日

1086.jpg お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1086話です。
 4年前のソチオリンピックのフィギュアスケートで、羽生結弦選手が獲得した金メダルは、日本人選手として通算10個目でした。そして、この度の平昌(ピョンチャン)大会で、羽生選手が2連覇を果たして得た金メダルは、冬季オリンピックにおける金メダルとしては、通算1000個目だそうです。金メダルひとつ取るだけでも至難なことなのに、2つの金メダルが、大きな節目を飾っている羽生選手は、常人にはない何かを持っていますね。
 オリンピックは4年に一度というところに大きなあやがあります。毎年であれば、選手はコンディションを整え易いのではないでしょうか。4年間の方が力がつくこともあるでしょうが、年齢によっては衰えることもあります。4年先まで見据えるためには、体力面のトレーニングと共に、強靭な精神力が求められます。
 そのような中で、羽生選手は2回目のオリンピックを目前にして、昨年11月練習中に右足首を怪我し、松葉杖をつくほどでした。2カ月間も氷に乗れずに、大会の1カ月半前にやっと練習ができるという状態でした。その他にも、4年の間、他の選手との衝突や、捻挫、インフルエンザといった障害もありました。選手生命が脅かされるような困難に打ち克っての勝利です。
 彼は言います。「たくさんの夢がありました。オリンピックに向かうにつれ、ひとつずづ捨ててきて、結局残ったのが、どんなことがあってもオリンピックで金メダルを取る、ということだったのです」。その夢の中には、みんなで食事に出かけるとか、コンサートを見に行くというような普通の若者が、当たり前に行っている事も含まれていたようです。しかし、彼の言動を見ていると、無理にやりたいことを我慢しているという感じではなく、氷の上での演技がすべてであると、自然体でふるまうさわやかさがあります。
 「人の心は、こだわりを持つと氷となり、無心になると水のように流れ出す」という言葉があります。勿論これは、氷のように冷たく堅い心を戒めたものです。羽生選手の心には、氷どころではない、何ものも打ち砕くことのできない強靭さがあります。その強靭さで、氷にこだわり極めて、無心になり、水が流れる如く、いや羽生選手だけに、羽が生えたかのような華麗な演技に結びついたのでしょう。そして、4分半の演技が終わって、右足に手を添え「ありがとう」と言って怪我をねぎらいました。更に氷に3度手を触れたのは、困難を乗り越え求めていた幸せが、氷のように結晶したことを実感したからでしょうか。冬季オリンピック史上1000個目の金メダルには、そんな羽生選手こそがふさわしいと、この時まで待っていてくれたかのようです。
 ここでお知らせ致します。来る3月11日(日)午後2時徳本寺にて、東日本大震災復興祈願大般若法要と慰霊法要を行います。また、やまもと民話の会代表庄司アイさんの「震災と民話」というお話もあります。是非みなさんでご参加ください。
 それでは又、3月1日よりお耳にかかりましょう。

最近の法話

【第1185話】
「雲の上の人」
2020(令和2)年11月21日~30日

news image

板橋禅師遺意の「京焼一輪生け」(竹に蝸牛の絵は禅師御染筆) お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1185話です。 本山では住職に相当する方を、禅師と言います。大本山總持寺には禅師が全国の僧侶や檀信徒と親しく接する紫雲台(しうんたい)という建物があります。そして紫雲台は禅師の尊称にもなっていて、紫雲台猊下とお呼びします。紫雲とは紫の雲で、仏がこの雲に乗って来迎すると言... [続きを読む]

【第1184話】
「お召し物」
2020(令和2)年11月11日~20日

news image

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1184話です。 日本国の天皇なのに、公の場で着物を着ることはありません。一説には平安装束と違って、いわゆるの着物は、武家に由来しているので、天皇からすれば家来が着るようなものを着るわけにはいかないとか。一方皇后は外国の要人を招いた席や、外国で着物を着ることがあります。和服姿は日本文化をアピール... [続きを読む]

【第1183話】
「スコップ三味線」
2020(令和2)年11月1日~10日

news image

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1183話です。 「音楽がなくても死なないが、音楽がなくては生きてはいけない」と言った人がいます。事実、人類は1万年前には、音の響く石を並べて、リソホンという楽器のように奏でていたそうです。古代より音楽は、生きていく上で必要とされてきたのでしょう。 現代では夥しい種類の楽器が溢れています。そん... [続きを読む]