テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第1055話】「命をつなぐ」 2017(平成29)年4月11日-20日

住職が語る法話を聴くことができます

1055_15.JPG お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1055話です。
 その講習会は、積雪のある時期の登山の理解を深め、事故防止に役立てる目的で開催されました。場所は栃木県那須町のスキー場。しかし、3月27日に雪崩が発生。参加者の高校生7人と教員1人が亡くなり、40人が重軽傷を負うという大惨事となりました。その日は茶臼岳への往復登山の予定でしたが、悪天候のため中止。その後、当初の予定にはないラッセル訓練を行っている途中の出来事でした。
 悪天候のため予定を中止した決断は、事故防止に役立てるという講習会の目的を実践で示したと評価されるものでしょう。それだけに、その後の予定外の訓練がなかったならばと、悔やまれてなりません。亡くなられた方や遺族の方の無念さは計り知れません。一命を取り留めた参加者にとっても、身心に負った傷の深さは如何ばかりでしょう。
 そんな中で、雪崩で生き埋めになりながらも、雪を食べて助かった男子生徒がいました。彼は雪崩に襲われ、後ろに何回転も転がり、木にぶつかり、雪に埋もれました。手を伸ばしても雪の表面に出ないほど、1メートルは埋もれたと言います。片手だけは動かせたので、少し空間を作り、口の周りの雪は食べて溶かし、呼吸ができるようにしたそうです。とっさの判断のおかげで、その後、1、2時間後に助け出されたのです。絶対絶命の状況にあっても、絶対に生きるという強い生命力が成し得たことなのでしょうか。
 一方、今回の雪崩は、時速50〜60キロに達し、発生から10秒程度で生徒たちを襲っているとみられています。その威力は木造住宅が大きく壊れるほどだそうです。先頭集団にいた生徒の判断を超える自然の脅威だったことでしょう。犠牲者の一人、高校1年の高橋淳生(あつき)さん。彼の母親は人工呼吸器をつけている息子をみて、だめなことは覚悟しました。そして「何か臓器提供はできますか」と医師に尋ねます。「息子はまだ16歳で、世の中の役には立っていない。しかし、大人になって何かに貢献したいと思っていたに違いない」そんな思いで、臓器提供を申し出たのでした。角膜が提供できるということで、栃木県のアイバンクに提供されました。
 「この世に生を受けたこと それが最大のチャンスではないか」これは、天才F1レーサーと言われながらも、レース中の事故で亡くなったアイルトン・セナの言葉です。生まれなければ何もできません。生まれたからこそ、様々な可能性があるはずです。突然の事故でも九死に一生を得た命に待つチャンス。無念の思いで散った若き命とはいえ、その角膜が与えるチャンスに、どれほどの光が差すことでしょうか。若者が確実に命をつないでいることを教えてくれました。
 ここでお知らせ致します。3月のカンボジア・エコー募金は、247回×3円で741円でした。ありがとうございました。
 それでは又、4月21日よりお耳にかかりましょう。

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