テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第1005話】「うらみなさ」 2015(平成27)年11月21日-30日

住職が語る法話を聴くことができます

1005.JPG お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1005話です。
 「白黒をつける」とは、物事の是非善悪をはっきりさせることを言います。囲碁の碁石の白と黒がその語源のようです。それにしても、白黒どころではない、真っ赤な血に染まってしまった花の都パリの13日金曜日の夜でした。
 過激派組織「イスラム国」(IS)の犯行とみられる同時多発テロ事件が、パリの劇場・競技場・レストランなど6カ所で起きました。3グループの犯人たちは、分刻みに殺傷を繰り返しました。わずか30分間の出来事でしたが、120人を超える死者と、350人以上の負傷者が確認されました。テロとはテロリズムの略で、一定の政治目的のために、暗殺・暴行などの手段を厭わない主義を言います。どんな主義を唱えようが、何ら罪もない一般市民の命を奪うことなど、断じて許されません。
 週末の夜、コンサートを楽しんでいた人、サッカーの試合を応援していた人、ごちそうを食べながら団らんの時を過ごしていた人、「グラスに手を伸ばしたまま、テーブルにうつぶせに倒れている客もいた」という証言も報じられています。誰もが当たり前の日常生活の一コマにいたのです。それが理不尽な主義主張により、一瞬にして失われてしまいました。どんなに憎んでも怨んでも、その憤りを抑えることはできないというのが、大方の本音でしょう。
 しかしお釈迦さまは、『法句経(ほっくきょう)』の中で、こう説かれました。「まこと、怨みごころは いかなるすべをもつとも 怨みを懐(いだ)くその日まで ひとの世にはやみがたし うらみなさによりてのみ うらみはついに消ゆるべし こは易(かわ)らざる真理(まこと)なり」と。「他人を怨む心を懐いているうちは、怨みを解くことはできない。ただ、怨む心をなくしたとき解くことができる。これはいつまでも変わらない真理である」と理解できます。
 怨みに報いるのに、怨みを以ってしては、更に怨みを増すばかりになります。怨みなきの行いによって報いることが、争いの解決への近道だというのです。「目には目を歯には歯を」の世界にいる人には、理解し難いところかもしれません。でも、今こそ世界中の人が、国境も宗教も越えて、「うらみなさ」の理想郷の実現に向けて、心をひとつにする時でしょう。
 特に日本人には、更に粋な「うらみなさ」の世界をご紹介します。「白だ黒だと けんかはおよし 白という字もで書く」(昔の都々逸)。所詮けんかの白黒など、に追いやってしまえばいいのです。そんな大きな心の人は、世間から、一目も二目も置かれることでしょう。
 ここでお知らせ致します。テレホン法話の千話を記念して、テレホン法話集『千話一話―3.11その先へ』(定価千円)が発売されました。書店もしくは徳本寺でお求めください。徳本寺にはこちらからお申込みください。
 それでは又、12月1日よりお耳にかかりましょう。

最近の法話

【第1142話】
「お斎」
2019(令和元)年9月11日~20日

news image

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1142話です。 「お斎(とき)」とは、寺院やご法事で出す食事のことを言います。僧侶の食事は元々一日一食で、午前中にとることになっていて、時刻に関わるものであることから、食事を「とき」と呼ぶようになりました。「斎」という字は、精進潔斎の「斎」と書き、汚れを清め行為を慎むという意味があります。そのこともあり、お斎には、肉・魚などを用... [続きを読む]

【第1141話】
「13匹の抜け殻」
2019(令和元)年9月1日~10日

news image

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1141話です。 今年の8月15日新潟県の糸魚川市で、31.3度を記録しました。これは最高気温ではなく最低気温です。最低気温の最も高い記録を29年ぶりに塗り替えたのです。要するに一日中気温が30度を下回らなかったということです。因みにこの日の最高気温は、同じ新潟県の寺泊で、40.6度でした。... [続きを読む]

【第1140話】
「ヒマワリの夏」
2019(令和元)年8月21日~31日

news image

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1140話です。 「スマイリング・シンデレラ」と世界中から称賛された女子ゴルフの渋野日向子(しぶのひなこ)さん。8月4日全英オープンで優勝し、日本勢42年ぶりの海外メジャー制覇を果たしました。20歳とは思えない勝負度胸と、普段は勿論ピンチの時も笑顔を絶やさないその姿勢が、共感を呼んでいます。... [続きを読む]