テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第950話】「水に傷つきし人々」 2014(平成26)年5月11日-20日

住職が語る法話を聴くことができます

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 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第950話です。
 一口に仏さまと言っても、釈迦如来、地蔵菩薩、不動明王、帝釈天など、その役割によって呼び方が違うように、姿も千差万別です。千手観音・十一面観音など、手や顔の数でもその特徴を現しています。そのような仏さまを漫画家が描いたら、さぞやユニークなお姿が出現すると思いませんか。
 「漫画家による仏の世界展」を東京の増上寺で拝観する機会がありました。日本の漫画文化は世界に誇れるもので、MANGAとアルファベット表記すれば世界に通用する言葉とか。漫画家が仏さまを描けば、明るく楽しい仏さまになることでしょう。それを拝むことにより、戦火に苦しむ国、飢餓に喘ぐ子どもたち、東日本大震災をはじめとする自然災害など、世界各地で起きている不幸で悲しい出来事に思いを馳せ、人々が夢と希望を見出すきかっけになればと願って開催されたのです。
 「ゴルゴ13」でお馴染みのさいとう・たかをさんは「護留護天」なる武神を描きました。すべての敵を倒してくれそうな屈強な姿で、顔は「ゴルゴ13」の主人公デューク東郷です。ジョージ秋山さんは、妖艶な観世音菩薩です。心の目をもって、私たちの悩みや苦しみをお救いくださると信じて描かれたようです。異色なのは、落語家の林家木久蔵改め林家木久扇師匠です。落語家になる前は漫画家だったそうで、「ラーメン大仏」なるものを描いていました。大仏さまがラーメンを食べていて、屋台のラーメン屋の老人、チョコンと座った犬、夜空には居眠りしている三日月、なんとも心和む図柄です。そして「マンガの神様」と称された今は亡き手塚治虫さんの作品は、「ブッタ」です。お釈迦さまの生涯を史実と独自の解釈で十数年の歳月をかけて描かれたブッタ伝。そのお釈迦さまが全展示作品を締めくくるかのように、最後のコーナーに飾られていて親しく拝観できました。
 特に印象に残ったのは南久美子さんという漫画家です。書とマンガを組み合わせて独自の世界を作り上げるユーモアセラピストといわれています。その仏さまは弁財天でした。右手にワイングラス、左手に楽器の琵琶を持って、頬を赤らめにこやかな顔立ちです。そして「水に傷つきし人々に幸あれと」と墨書してありました。弁財天は古代インドのサラスヴァティという河の女神です。日本でも水に縁のあるところに祀られます。作者は言います。「神も仏もないと思わせた大震災。人々の幸せを奪った海ですが、再び人々に歓びをもたらすゆたかな海になるように祈りを込めて、亡くなられた方々に献杯、そして今生きている方々に乾杯」
 水に浮かぶ弁財天の周りには、ベートーベンの第九「歓喜の歌」の楽譜が描かれています。それはまるで歓びを運ぶ波のようにも見えます。全く漫画家の発想は自由自在です。その絵を拝めば、これまで「神も仏もない」などとモヤモヤと絡まっていた僻みというかみほどけた気分になります。
 ここでご報告致します。4月のカンボジア・エコー募金は、110回×3円で330円でした。ありがとうございました。
 それでは又、5月21日よりお耳にかかりましょう。

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