テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第778話】「ダイヤモンド婚」 2009(平成21)年8月1日-10日

CA4VA6SL.jpg お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第778話です。
 今からちょうど60年前、ある男女が結婚しました。「今日からは、うれしい時は勿論、悲しい時も辛い時も、いつも二人で一緒になって生きていこう」「そうですね。銀婚式も金婚式も迎えられるよう、末永くよろしくお願い致します」「そういえば、あと60年後に、日本で皆既日食が観測できるそうだ。その時、ダイヤモンドリングが見られるかもしれない。そして、結婚60年目はダイヤモンド婚といわれている」「そうなったら皆既日食のダイヤモンドリングを見ながら、ダイヤモンド婚を迎えられるわけですね」「奇跡が二つ同時に起きるようなものだよ」「それは素敵ね。ほんとうに奇跡がやってくるように、二人とも健康で仲良く暮らしましょう」
 先日、ほんとうにこんな会話を60年前に交わしたのではないかと思えるようなご夫婦のダイヤモンド婚のお祝いがありました。皆既日食のあった3日後の7月25日でした。4組の子ども夫婦と元気にそれぞれの道を歩んでいる10人の孫たちに囲まれて、幸せそのものでした。勿論、60年前からこの日を想像していたとは思えません。一日一日の積み重ねという意識を強く抱いてきたから、今日があるのでしょう。
 男と女が縁あって、夫婦の契りを結んだからには、生涯添い遂げるのが当たり前かもしれません。しかし、現実はそう甘くはありません。根本的な男と女の違いがあります。長い間暮していれば、その違いゆえに、誤解を生むこともあります。だから、今日の誤解は今日中に解決し、明日まで引き摺らないことです。過去の良いことも引き摺らなければ、今と比較することはないのですから、不平は生まれません。
 さて、皆既日食はご存知のように、太陽は月の400倍の直径を持ちながら、月の400倍遠くにあるために、月が日にぴったり重なる時に起きる現象です。そして、月と日が完全に重なる最後の一瞬に、太陽の光がダイヤモンドのようにきらめくのが、ダイヤモンドリングです。
 男と女、どちらを月と日に譬えるかは別として、月と日のように形も違えば、距離もあるでしょう。だからお互いの違いを認め合うことが肝心です。その上で、相手を思いやる気持ちを忘れなければ、皆既日食の月と日さながらに、心と心がぴったり合うことでしょう。それが、60年間も続けば、ダイヤモンドリングの輝きとなるわけです。まさに月日の力は奇跡を示してくれます。
それでは又、8月11日よりお耳にかかりましょう。

最近の法話

【1326話】
「両手の作法」
2024(令和6)年10月21日~31日

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1326話です。 「人間の歴史は手の歴史」と言ったのは、無著成恭さん。多くの動物は4本足で歩くので、手はなく自分でものを作れません。人間は2足歩行で、2本の手があり、田畑を耕したり、必要なものを作り、扱う作法もできます。 さて、ある高名な布教師さんが、法話の会で滔々(とうとう)と説教をしました。仏さまの教えを分かりやすく説... [続きを読む]

【1325話】
「はらこめしと仏飯」
2024(令和6)年10月11日~20日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1325話です。 わが山元町は小さな田舎町ですが、この時期、行列ができる店があります。「はらこめし」を提供している店です。はらこめしは、鮭の煮汁でご飯を炊き込み、その上に鮭の切り身とはらこをのせたものです。はらことは鮭の卵いわゆるイクラのことです。隣の亘理町荒浜が発祥の地ですが、亘理郡内に行き渡... [続きを読む]

【1324話】
「少年の心
達磨の心」
2024(令和6)年10月1日~10日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1324話です。 心理学者の児玉光雄は、大リーグの大谷選手を「少年の心を持つスーパーアスリート」と表現しています。少年時代から野球を楽しむ心を忘れず、自発的に物事に取り込める姿勢が、想像を超えた活躍に繋がっているというのです。 大谷選手は50-50つまり、50本塁打50盗塁という夢のような記録... [続きを読む]