テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第981話】「復興へわたる」 2015(平成27)年3月21日-31日

住職が語る法話を聴くことができます

981.JPG
 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第981話です。
 尺取り虫はその進むさまが、親指と人差し指を使って「5寸・1尺」と長さを計るのに似ているので、そう名付けられたそうです。そして「尺度」の「度」は、尺取り虫のように、手尺で一つ二つとわたって長さを計る意味があります。転じて「わたす」とも読みますが、仏の教えによって彼岸にわたすなどと言うときに使います。
 彼岸とは彼の岸、仏さまの世界を言いますが、理想の世界と言ってもいいでしょう。それに対してこちらの岸もあるわけで、それを此岸といいます。仏さまに対して、凡夫の世界、私たちが今いる現実の世界と言えます。悩み苦しみ多い現実から、いつも清々しい心持でいられる理想の世界にわたられるようにと発心することが、お彼岸の第一歩とも言えます。
 さて、現在徳本寺の境内には、東日本大震災復興祈願法要に合わせて掲げられた、たくさんの「黄色いハンカチ」が風になびいています。震災以降、山元町には国内外から復興を支援する「黄色いハンカチ」が、2万1000枚も寄せられています。被災者を励ます様々なメッセージが書かれています。大人から子どもまで、人柄が伝わるような文字や絵が踊っています。ロープに等間隔で結びつけられた何枚ものハンカチを見ていると、彼岸の教えと重なってきました。
 「黄色いハンカチ」は、何かの橋渡しの役割も担っているのではという思いにさせられます。「度(わた)す」とは、一つ二つとわたって長さを計ることからきていると言いました。黄色いハンカチも一枚二枚と、わたっていけます。被災地というたいへんな現実から、復興という理想の世界へ、被災者をわたしてくれる力があるような気がします。
 復興祈願法要では、「山元町の歌を作り隊」というバンドのコンサートもありました。彼らは先に、震災後も悲しみを乗り越えて山元町で生きていくという内容の歌「この町で」を発表して、多くの共感を集めています。そしてこの度、黄色いハンカチのイメージソングとして「黄色いハンカチ」という歌も披露してくれました。ハンカチを届けてくれた方への感謝と震災から4年が過ぎ少し前向きになってきた想いを込めています。
 '' なくした夢 あきらめた想い ひとつひとつ拾い集めて いつか叶うまで 信じ続けていこう メッセージからの勇気 ''と歌っています。一枚一枚の黄色いハンカチが、被災という現実から、復興という理想へわたって下さいと願っています。私たちは、なくした夢やあきらめた想いを、ひとつひとつ拾い集めて、叶うと信じることが、彼岸へわたる第一歩になるのではないでしょうか。復興の尺度は人それぞれでしょうが、尺取り虫に負けない確かな足取りで進みましょう。 
 それでは又、4月1日よりお耳にかかりましょう。

最近の法話

【第1201話】
「皆勤賞」
2021(令和3)年5月1日~10日

news image

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1201話です。 私の中学高校時代には、無遅刻無欠席者には皆勤賞、遅刻はしたが無欠席者には精勤賞というのがありました。私は6年間無遅刻無欠席で皆勤賞になり、記念に18金のネクタイピンをいただきました。卒業年度の1968という数字も刻印されています。 こんな手前味噌の話をしたのは、4月3日の河北新報に掲載された仙台市の木村大志さん... [続きを読む]

【第1200話】
「島田さん」
2021(令和3)年4月21日~30日

news image

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1200話です。 「新聞でお名前見てると看護士が95歳の心を癒やす」島田啓三郎。これは2月28日の河北新報の歌壇に載った歌です。島田さんは私のもう一つの住職地徳泉寺の檀家さんで、総代を勤めいただいたこともあります。しかし、去る2月25日に数え年97歳で旅立たれました。その3日後の新聞掲載だったの... [続きを読む]

【第1199話】
「サクラサク」
2021(令和3)年4月11日~20日

news image

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1199話です。 東日本大震災の大津波で何もかもが流され、もはや元の姿に戻ることはできないと諦めの気持ちでした。ある朝、鶯の声が耳に入ってきて、我に返ったのです。こんな時にも自然は変わらず営み続けている。それから季節の移ろいをメモするようになりました。季節を感じることで、悲惨な現状に流されまいと... [続きを読む]