テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第913話】「さとり世代」 2013(平成25)年5月1日-10日

住職が語る法話を聴くことができます

 913.JPG お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第913話です。
 「さとり世代」とは、インターネットの掲示板で、自然発生的に生まれた今どきの若い人たちのことを指す言葉だそうです。その特徴としては、車やブランド品・海外旅行に興味がない、お金を稼ぐ意欲が低い、地元志向、恋愛に淡泊、過程より結果を重視、ネットが主な情報源、読書好きで物知りなどという点が挙げられるとか。ほぼ平成になってから生まれた10代から20代半ばの年齢層にあたります。いわゆる「ゆとり教育」を受けて育ちました。
 それを裏付けるかのような、財団法人日本青少年研究所が行った調査結果があります。昨年秋に日本・米国・中国・韓国の高校生6600人を調査したものです。将来「偉くなりたいと思うか」という問いに対して、「強く思う」と答えた高校生は、中国37.2%、米国30.1%、韓国18.6%でしたが、日本はわずか8.7%で最低でした。その国の勢いを反映しているかのような結果とも読めます。
 識者はこの「さとり世代」をこう分析します。物心ついたときは景気が後退していたものの、ネットの普及で情報はあふれているので、物事の結果を先に知ってしまう。そのため、合理的に動き「ほどほど」が合言葉になっている、と。要するにやる気がないだけのような気がします。それを「人生を諦めているように見える」などど、オブラートで包むような世間の言い方も気になります。そして「諦める」という言葉から「さとり世代」という風になったと思われます。
 世間でいう「諦める」は、「仕方がない」とか「断念する」という否定的意味合いです。しかし、仏教では、「諦める」は「悟り」と同意語です。「諦める」の元々の言葉は、「明るい」と書く「明らめる」で、「明らかにする」ということです。即ち、はっきりわかる、納得するということです。「さとり世代」のさとりとは、少しばかり先が見えただけなのに、いかにも自分の人生のすべてがわかったかのように思い込んでいる状態。だから適当に生きていけばいいと思っている人たちなのではないでしょうか。
 「悟る」というとき、「覚える」という文字も使われます。二つ合わせれば「覚悟」という言葉になります。つまり「悟り」とは「覚悟」ができているかどうかです。覚悟とは、一人ひとりの命にゆとりなどないという意識をもって、すべてに臨むことです。明日の命の保証は誰もしてくれません。5分後の運命さえわからないことは、大震災で犠牲になった方々が身をもって示して下さいました。偉くなる必要はないにしても、せっかくいただいたこの命、今輝かせないで、いつ輝かすのですか。明らかに今でしょう。
 それでは又、5月11日よりお耳にかかりましょう。

最近の法話

【第1246話】
「ないないづくし」
2022(令和4)年8月1日~10日

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1246話です。 「育児ないないづくし」というのがあります。「冷房の中で暑さがない おやつが過ぎて空腹がない テレビの見過ぎで考えない 何でもホイホイ我慢がない これではまともに育たない」生まれ育った環境は、その人の人生に大きな影響を与えます。 この人の人生も本当の意味での「ないないづくし」だったのでしょうか。街頭演説中の安倍晋三元首... [続きを読む]

【第1245話】
「Z世代」
2022(令和4)年7月21日~31日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1245話です。 Z世代とは、およそ1995年から2015年まで生まれた人をいうようです。年齢では7歳から27歳くらいまで。どうしてZなのかと言えば、その前の世代にY世代やX世代というのがあったからです。私は団塊の世代でしたが・・・。 Z世代の特徴は、生まれたときから、デジタル世界に生きている... [続きを読む]

【第1244話】
「呼吸する幽霊」
2022(令和4)年7月11日~20日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1244話です。 その昔、土葬だったころ、お墓で火の玉が見えるという話がありました。ある夜、自転車でお墓の側を通ったら、光るものが見えました。一瞬緊張しましたが、それは私が乗っていた自転車のライトが墓石に反射しているだけでした。しかし、火の玉には科学的根拠があります。遺体のリンが気化して、プカプ... [続きを読む]