テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第867話】「消えたニュース」 2012(平成24)年1月21日-31日

住職が語る法話を聴くことができます

867_1.jpg お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第867話です。
 JR九州新幹線の全線開業が、昨年の3月12日だったと知る人は少ないかもしれません。少なくとも、東北の私たちにとっては、東日本大震災の翌日のニュースから消えたものはたくさんあったはずです。しかし、世の中では震災翌日にも、様々な行事が予定されていたり、事件も起きていたはずです。それらのほとんどは知られることなく、埋もれてしまいました。
 実は私も3月12日に九州ならぬ四国に行かなければなりませんでした。それは曹洞宗四国管区教化センター主催の「禅をきく会」に講師としてお呼ばれしていたからです。12日の朝に飛行機で四国の松山市に向かうはずでした。勿論どうにもならない状況でした。11日の夜に、行けない旨の連絡はつきました。突然のことで主催者はたいへんだったはずです。何とか代役を立てて「禅をきく会」は、無事終えたと、後になって知らされました。このように、大震災のため思いもよらないような対応を迫られた方々は、たくさんいたはずです。
 その四国教化センターから今年も「禅をきく会」を開催しますので、今度こそは是非お越し下さいとの連絡がありました。誘われるままに、「まけないタオル」を歌っている「歌う尼さん」こと、やなせななさんと1月14日・15日の両日、高松市と松山市で講師を勤めて参りました。テーマは「東日本大震災―涙を超えた想いを語る―」というものです。四国は大震災の直接的な被害はほとんどなく、それに因んだ催しもあまり行われていないようでした。事前に新聞で、昨年の「禅をきく会」には、大震災のために四国に来られなかった講師が今回勤めるという記事が紹介されていました。そういうこともあってか、会場ではほんとに熱心に、我が被災地の様子や被災者の想いについて、耳を傾けて下さいました。
 圧巻は、やなせななさんが「まけないタオル」の歌を披露するミニコンサートを行ったのですが、そのアンコールでのことです。何と「まけないタオル」の歌にダンス振付がついたのです。松山市の「みかん一座」という子ども劇団の10数名が、お年玉で「まけないタオル」募金をしたそのタオルを持って、和尚さん方もステージに上がり、「まけないタオル」を一緒に歌い踊るというフィナーレでした。会場の参加者も手に手にタオルを持ち、歌って下さいました。それはまさに「まけないタオル」が狙いとするところです。被災地の方々がタオルで拭うべきは、泥や涙です。そして直接被災はしてなくて、遠くにいる人たちは、同じタオルを持って、一日も早い復興を願っていますよ、忘れませんよという思いを届けて下さっているのです。
 昨年の3月12日以降、消えた出来事は山ほどあることでしょう。私が四国に行けなかったこともその通りです。しかし、今回四国に行くことができ、しかも「まけないタオル」のダンスメッセージをいただき、大いに励まされ、勇気づけられました。昨年消えてしまった分を、補って余りある「禅をきく会」に感謝です。
早く世の中が、タオルでよく直るようにという思いが伝わりました。
 それでは又、2月1日よりお耳にかかりましょう

最近の法話

【第1251話】
「到彼岸」
2022(令和4)年9月21日~30日

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1251話です。 安倍元首相の国葬に反対の声が大きくなっています。その理由の一つに、きちんとした法の定めがないからです。一方、春秋の彼岸の中日にあたる、春分の日と秋分の日は、祝日法によりその意義も定められています。春分の日は「自然をたたえ、生きものをいつくしむ」、秋分の日は「先祖を敬い、亡き人をしのぶ」となっています。正々堂々とお... [続きを読む]

【第1250話】
「寛恕なる家族葬」
2022(令和4)年9月11日~20日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1250話です。 「惜別の機会を近所の人にも」という新聞投書がありました。75歳のAさんが亡くなったとき、その息子さんに「近所の人には葬儀に来て頂かなくて結構です」とBさんは言われました。Bさんは独り暮らしのAさんの通院の送迎をしていたほど親しかったのです。身内だけの葬儀もいいが、親が頼りにして... [続きを読む]

【第1249話】
「日本一からの招待」
2022(令和4)年9月1日~10日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1249話です。 地元の新聞「河北新報」の名前は、戊辰戦争に敗れた東北地方を軽視する言葉「白河以北一山百文」に由来します。明治30年創刊の河北新報は、この言葉を逆手に取って、東北復権の志を示そうと、敢えて「河北」と名付けました。 高校野球界においても、「東北地方は一山百文」的な見方をされてきた... [続きを読む]