テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第794話】「猫は悩まない」 2010(平成22)年1月11日-20日

 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第794話です。
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 今年は寅年ですが、猫のお話です。昨年の暮れに、曹洞宗東北管区教化センターで食事の大切さを説いたDVD映像の制作を行いました。その撮影現場に立ち会った時のことです。出演者は一人の主人公と一匹の猫です。猫は結構重要な脇役という設定です。一応、動物タレントとして飼われている「石松」という名前の猫が起用されました。
 主人公の人間はそれなりに、監督さんの指示通りにセリフを言い、演技もできます。しかし、猫はそう思うように動いてはくれません。日向ぼっこをしてなさいと言っても、木の葉が揺れただけで、敏感に反応をして、じっとしていません。縁側をゆっくり歩いてと言っても、反対方向に駆け出す始末。唯一自然体で演技ができたのは、餌を食べるところでしょうか。それでも、普通の猫よりは、カメラ慣れしているだけあって、何度かやり直しはあったものの、無事に撮影は終了しました。
 考えてみれば、人間の都合で猫を動かそうと思っても、猫には猫の本能があります。元曹洞宗の管長であった板橋興宗禅師様は、お寺に20匹以上の猫を飼っていらっしゃいます。そしてよく「猫は悩まない。人間だけが頭の中で好きだ嫌いだとグチグチ考えて悩み苦しんでいる」とおっしゃいます。撮影のことで言えば、確かに猫は人間に諂(へつら)ってこんな演技をした方が受けがいいだろうなどとは思いません。ただ本能のままに振る舞っているだけです。人間は如何に自然な振る舞いに見えるかと悩みながら演技をします。演技は作りごとであり、そのために悩み考えるなど、猫にはまさに考えられないことでしょう。
 猫の「石松」の行動を見ていると、「人間ってばーかみたい。風が吹いたら吹いたように、腹が減ったら減ったように生きればいいじゃない。少しばかり知恵があると思って、自然に逆らって、すべて自分の意のままにしようとするから、悩み苦しみの原因になる。作りごとでないありのままの自分を見つめなさい」と言っているかのようです。
 とは言っても、少しばかりの知恵があればこそ、この進歩的で便利な人間社会を築いているのです。そして日夜忙しく働いています。まるで猫の手を借りたいぐらいに。でもそれがほんとうに幸せかどうかはわかりません。幸せの一つの基準は「悩みがない」ということかもしれませんから。
 ここでご報告いたします。12月のカンボジア・エコー募金は、106回×3円で318円でした。ありがとうございました。
それでは又、1月21日よりお耳にかかりましょう。

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