テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第964話】追越(おっこし)2014(平成26)年10月1日-10日

住職が語る法話を聴くことができます

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 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第964話です。
 歌舞伎に「地震加藤」という演目があります。謹慎中の加藤清正が大地震の夜、救援のため真っ先に豊臣秀吉のいる伏見城に駆けつけたことにより、謹慎を解かれたという逸話です。この時の大地震とは、今から418年前の1596年に起きた慶長伏見地震です。伏見城で死者多数。京都、大阪で大きな被害がありました。
 それから15年後の1611年に慶長三陸地震が発生しています。大津波が襲来し、伊達領内で死者5千人、仙台平野では塩害のため、約10年間も米が収穫できなかったといわれています。その他にも、慶長年間にはいくつかの大きな地震が発生しています。そして、各地に残っている津波伝承の話は、この時のものが多いと言われています。
 町内の坂元地区に追越(おっこし)堤という沼があります。海から3キロほど離れた小高い山の中です。ここの水は塩っぱいと言われていました。子どもの頃、ここで泳いだことがあるという友だちがいました。こんな話が伝わっています。大昔、大津波がここまで来て、波が引いたとき、大きなくぼみになって、海の水が残り堤となったというのです。「追越」とは、「追い越す」と書きます。アイヌ語の「オイコイ」が語源で、「波が越す」という意味だそうです。山を越すほどの大津波が襲ったことから、この名前がついたようです。
 昔から伝わる地名にはそれなりの謂れがあります。ただ、昔の言葉が現代に通用しなかったり、アイヌ語まで辿っていかなければ、解らないことも多々あります。そうなると、意味も考えずに、地名としてだけ伝わってしまいます。ひどいところでは、簡単に今風の地名に変更することだってあります。そうならないためにも、伝承すべき話というのは、何年経とうがきちんと伝えていかなければなりません。
 追越堤の名前の由来は残っていたものの、それを知る人は多くありませんでした。知っていてもそこまで波が来るとは想定できなかったでしょう。東日本大震災の大津波が、我が町内では3キロも内陸まで襲ってきました。誰もがこんなところまで津波が来るなんて思わなかったといいます。先祖代々自分たちが生活を営んできたところですから無理もありません。しかし、追越の由来を信じるなら、この度の大津波は想定内とも言えます。因みに、慶長三陸地震の時の津波は、今回よりも3メートルも高かったことが判明しています。
 「必要なるものは存在する」とはヘーゲルの言葉です。確かに地名としては残っていました。それがどういう必要性があったのかを、私たちは普段忘れかけていたような気がします。これからは必要性をも伝承し、私たちも町も生まれ変わらなければなりません。津波伝承転生につながり、復興へ役立つことを願っています。
 ここでお知らせ致します。東日本大震災を語り継ぐテレホン法話集が出版されました。『一歩先へ 二歩先へ―3.11その先へ―』定価1000円。ご希望の方は徳本寺までご連絡ください。電話0223-38-0320です。
 それでは又、10月11日よりお耳にかかりましょう。

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