テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第1013話】「終活」 2016(平成28)年2月11日-20日

住職が語る法話を聴くことができます

1013.jpg お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1013話です。
 「ためらわず十年日記求めけり」水原春郎という方の句です。作者は何歳なのか、わかりませんが、お歳の方でしょう。拍手を送りたいですね。ところで、ちょっと前まで「シューカツ」といえば、学生の「就職活動」を指しましたが、昨今は、人生の終わりをどのように設計するかという活動を意味する「終活」が、話題になります。
 どなたも長年書きためた日記を含め、ご自分の持ち物を後顧の憂いがないようにしたいものです。人に読まれたくないのが日記で、欲しがる人もいないでしょうから、棺桶に入れてもらうのがいいのでしょうか。金銭などの財産であれば、遺産相続で落ち着く場合と、争いの元になることもあります。持っていればいるほど「終活」は簡単ではありません。
 さて、お釈迦さまの「終活」はどのようだったのでしょうか。お釈迦さまは、35歳でお悟りを開かれ、亡くなるまでの45年もの間、西に東にと説法の旅に出られるのです。余計なものはほとんど持たず、托鉢をなさりながら人々を教化し続けられました。80歳になったとき最後の旅となる覚悟で、生まれ育ったカピラ城を目指します。しかし、途中のクシナガラという町で、鍛冶屋のチュンダが供養に差し上げた食事を食べたところ、腹痛を起こされ、沙羅双樹の林の中で、その生涯を閉じられるのです。今から約2500年前の2月15日のことです。
 お釈迦さまが、亡くなる直前に臨終の教えとして説かれたのが『遺教経(ゆいきょうぎょう)』というお経です。その最後の最後におっしゃった言葉はこうです。「一切世間の動不動の法は、皆是れ敗壊不安(はいえふあん)の相なり。汝等(なんだち)(しばら)く止みね、復(ま)た語(もの)いうこと得ること勿れ。時将に過ぎなんと欲す、我れ滅度せんと欲す。是れ我が最後の教誨(きょうげ)する所なり」「世間の動くものや動かぬものも全ては、壊れゆき、安定しない性質のものである。汝らもう何も言うことはない。時はまさに過ぎようとしている。私は滅してしまうのだ。以上が私の最後に教え諭したところである」
 全てのものは壊れてゆく、お釈迦さまといえども、無常の風が吹けば、逆らうことはできないということを、身をもってお示しになったのでした。そして、この言葉の前にこうも言っておられます。「汝等比丘(なんだちびく)、常に当に一心に出道(しゅつどう)を勤求(ごんぐ)すべし」と。出道とは道に出ると書き、悟りに向かうということです。ひたすらに悟りを求めよ。そのためには世俗的なものを一切捨てなさいということです。
 これは出家者に対するきびしいお言葉ですが、「終活」にあたり、出家するほどの気概を持てば、少しははかどるかもしれません。日頃から余計なものは持たないのが一番と、日記に書いておきましょう。
 ここでお知らせ致します。1月のカンボジア・エコー募金は、1,174回×3円で3,522円でした。ありがとうございました。それでは又、2月21日よりお耳にかかりましょう。

最近の法話

【第1148話】
「空しく施す」
2019(令和元)年11月11日~20日

news image

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1148話です。 オウンゴールとは、サッカーで誤って、自分のチームのゴールにボールを入れて、相手の点数になることで、昔は自殺点とも言いました。 この度の萩生田光一文部科学大臣の「身の丈」発言は、まさにオウンゴールです。来年度からの大学入試共通テストでの英語民間試験の活用導入を見送ることになったからです。それは民間に丸投げして、英... [続きを読む]

【第1147話】
「ソプラノの声」
2019(令和元)年11月1日~10日

news image

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1147話です。 たとえば、誤ってグラスを落として割ったとします。驚いて大きな声を出すことでしょう。しかし、大きな声でグラスを割ることができるとしたら、もっと驚きです。ソプラノ歌手でその声をもって、グラスを割った人がいるそうです。想像を超えた神技のレベルでしょうか。 さて、先日行われた第... [続きを読む]

【第1146話】
「水の怖さ」
2019(令和元)年10月21日~31日

news image

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1146話です。 伊豆地方で住職をする私の先輩は、台風19号の天気予報を聴いて、寺の過去帳とおにぎり5個を須弥壇に供えたそうです。気象庁が「1200人以上犠牲者が出た狩野川台風に匹敵する」と報じたからです。狩野川台風は先輩が小学3年の昭和33年9月26~28日にかけて、伊豆半島をかすめて、東海・... [続きを読む]