テレホン法話
~3分間心のティータイム~
【第861話】「寄り添う」 2011(平成23)年11月21日-30日
住職が語る法話を聴くことができます
お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第861話です。
大震災で被災した方々は、日々たいへんな思いをしていらっしゃいます。これからも生活していく上での現実的な問題に直面していかなければなりません。生きていく上で、避けては通れないことが山積しています。命は何とか助かったが、大切な人を失ったという喪失感。或いは家も土地も田畑もなくなって、これからどうして生きていけばいいのかという不安感。寒さに向かうからばかりではなく、心に吹く北風・隙間風が身に堪えないはずがありません。
そして、直接被災していない人もそのことは、分かっているつもりでいます。しかし、どのように手を差し伸べていいのか分からない、自分には何かをしてあげる力もないと思う人も多いことでしょう。そんな中で、「寄り添う」という言葉をよく聞くようになりました。「被災している人に直接何かできるわけではないが、辛さを理解しようという気持ちで、いつもあなたを忘れずにいますからね」ということなのでしょうか。
11月5日仙台市で、ノーベル平和賞を受賞しているチベット仏教の最高指導者であるダライ・ラマ14世の講演会があり、お招きをいただき拝聴してきました。ダライ・ラマ14世の強いご意向で、大震災で犠牲になった方の慰霊と復興祈願を念じて、被災地を訪れて下さったとのことでした。ダライ・ラマ14世は、チベットの農家に生まれ、2歳の時に、ダライ・ラマ13世の生まれ変わりと認定されました。チベットでダライ・ラマは観音菩薩の化身だと信じられています。観音さまは慈悲の菩薩です。慈悲の「慈」は楽を与えることであり、「悲」は苦しみを除くことです。
ダライ・ラマ14世のお話は、まさに慈悲の心でした。「被災地のみなさんの深い悲しみと痛みを共有したい」「被災者に寄り添いたい」そんな内容の言葉を伝えていました。ダライ・ラマも私たちと一緒に痛みを感じ、悲しんでくれている、そう思うと少しは苦難の心も楽になった人も多かったはずです。
被災している方に、直接支援できることには限りがあります。しかし、何ができなくても、誰でもできることがあります。それは「寄り添う」という思いをずっと続けることです。続けることによって、何ができるかが見えてくることもあるでしょう。そしてダライ・ラマ14世も仰っていました。「苦しみを忘れようとするのではなく、苦しみを活用することだ」と。
「苦しい」は「苦(にが)い」とも読みます。「良薬口に苦し」ではありませんが、この大震災という苦しみを、良薬に転ずるためにも、寄り添うことを忘れず、寄り添われていることに対する感謝の気持ちも忘れたくないものです。
それでは又、12月1日よりお耳にかかりましょう。
最近の法話
【第1276話】
「親孝行と墓参り」
2023(令和5)年6月1日~10日

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1276話です。 「親孝行したい時に 親はなし さりとて墓に 布団もかけられず」まさにその通りです。親が死んで初めて、自分の至らなさに気づくことは多々あります。生きている時にこそ、布団をかけてあげる気遣いが必要と自戒を込めて言います。 ところで、お墓に屋根をかけているところがあります。鹿児島を訪れた時に出会いました。鹿児島といえ... [続きを読む]
【第1275】
「イエスかハイ」
2023(令和5)年5月21日~31日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1275話です。 映画の字幕は、1行最大13文字で、2行までと決められているそうです。誰もがストレスなく読み取れる情報量とか。アメリカ映画にこんなセリフがありました。「Hard To Say Yes」、直訳では、「ハイ、と言うことが困難だ」となります。日常会話としては不自然です。字幕では「すなお... [続きを読む]
【第1274】
「お下がり」
2023(令和5)年5月11日~20日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1274話です。 ランドセルはオランダ語で軍隊が背負うカバンの「ランセル」が語源ですが、日本では小学生の専売特許です。今年小学校を卒業した大阪市の森下紡(つむぎ)さんのこんな新聞投書がありました。「赤い色のランドセルは、6年前、七つ上の姉から譲りうけたものです。姉はとてもランドセルを大切に使いま... [続きを読む]
テレホン法話
~3分間心のティータイム~
- 2023年
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2022年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2021年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2020年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2019年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2018年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2017年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2016年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2015年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2014年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2013年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2012年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2011年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2010年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2009年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2008年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月