テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第998話】「人間は未完成」 2015(平成27)年9月11日-20日

998.JPG お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第998話です。
 全国で100歳以上は優に5万人を超えています。それが多いと言われれば、そう思いますし、総人口からすれば、1パーセントにも満たないのですから、実感が伴わないのも事実です。ところで、我が山元町では今年の夏に入ってから、10日間のうちに103歳の方が3人続けて亡くなりました。いずれも女性で、ふたりは檀家さんでした。こうなると100歳という年齢が身近に感じられます。
 奇跡のような年齢はどうして達成されるのでしょうか。少なくともふたりの103歳の檀家さんは、若い時に人並み以上に苦労をなさっているようでした。更に100歳を過ぎても庭の草むしりや、針仕事などをこなして、手足を動かすことを厭わないのです。そして、晩年は家族に恵まれ穏やかに過ごしてこられました。
 長生きの秘訣は色々言われますが、加齢制御医学の教授の説によれば、「遺伝が25パーセント、生活習慣などの環境的要因が75パーセント」だそうです。遺伝子が同じ一卵性双生児でも、大人になって生活習慣が変わるにつれ、寿命に20年の差がつくこともあったという例を示しています。長生きの方へのアンケートで、心がけていることの上位に挙げられるのが、「こだわらない」「好き嫌いをしない」です。これは食べ物のこともあるでしょうが、普段の心の持ちようも表しているのでしょう。生活習慣の際たるものは食事ですから、好き嫌いがなく、何でもおいしくいただけたら理想です。そして精神面では、苦楽にこだわらず、その時その時を精一杯生きようと毎日を送られたら、これまた理想でしょう。
 もう一人103歳の方を紹介します。美術家の篠田桃紅(しのだとうこう)さんです。「『いつ死んでもいい』なんて嘘。生きているかぎり、人間は未完成」これは彼女の言葉です。今が未完成であると自覚できることが、彼岸という完成された世界に向かう出発点です。未完成であるからこそ、その一歩一歩に全力を尽くしていれば、それは「いつ死んでもいい」ということにつながるのではないでしょうか。その時人は「天寿を全うした」と言って下さるでしょう。
 禅の言葉に「道無窮(道は無窮なり)」というのがあります。修行は永遠に終着駅のないようなもので、いつも途中ながら、今のこの一歩に心を尽くせば、そこが終着駅であり、彼岸という到達点です。百年一日の修行にチャレンジしましょうか。
 ここでお知らせ致します。8月のカンボジア・エコー募金は、78回×3円で234円でした。ありがとうございました。
 それでは又、9月21日よりお耳にかかりましょう。

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