テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第930話】「復興笑」 2013(平成25)年10月21日-31日

住職が語る法話を聴くことができます

930.JPG お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第930話です。
 アンパンマンの作者やなせたかしさんが、10月13日94歳で亡くなりました。やなせさんは童謡の「手のひらを太陽に」の作詞家としても知られています。「ぼくらはみんな生きている 生きているから笑うんだ」という有名な一節があります。
 私たちは一人で生まれて一人で死んでいく定めです。しかし、生まれてから死ぬまでの間、つまり生きている間は、決して一人ではありません。様々な人に支えられたり、いろいろなもののおかげで生かされていることを実感します。この私も誰かの支えになることもあるかもしれません。やなせさんは「ぼくらはみんな生きている」と歌っています。「ぼく」ではなく、「ぼくら」というところが肝心です。そうでないと次の一節「生きているから笑うんだ」につながり難くなります。屁理屈のようですが、「ぼく」一人で笑っては気持ち悪いでしょう。一人ニヤニヤしている人を見てどう感じますか。やはり笑うときは「ぼくら」で笑い合うことが自然です。
 私たちは一人でしかも泣きながら生まれてきます。そのためとはいいませんが、一人で泣いても様にはなります。しかし一人きりで笑うことができたとして、後から虚しさが募るものです。何か面白いものを見て笑うとしても、相手がいてのことです。「ぼくら」としてこの世に生きている限り、「ぼくら」で笑い合えるのが理想です。
 大震災から2年7ヶ月が過ぎ、復興という言葉や現実のイメージが、人によって異なった受けとめ方をされています。すべてを失いながらも、新天地を求めて、新しい生活を始めた人もいます。大方はまだ仮設住宅に住まいしています。中には将来に対して展望が開けていない人もいます。どう考えても、これからの復興は一人二人の力で成し得るレベルではありません。一人で泣いている自分にサヨナラをする頃です。多くの人に支えられている自分をイメージしてみましょう。
 一人で笑うことができないように、一人だけで復興は叶いません。多くの人の思いやりと力で復興が進んだとき、人は笑顔になります。笑顔は笑顔を呼びます。中島みゆきさんも「with」という歌の中で「ひとりきり泣けても ひとりきり笑うことはできない」と歌っています。復興はまだまだです。どなたも大震災を忘れることなく、みんなで被災地というステージに立ち、太陽というスポットライトを浴びて、「復興笑」という笑顔を演じていきましょう。
 ここでご報告致します。9月のカンボジア・エコー募金は、115回×3円で345円でした。ありがとうございました。
 それでは又、11月1日よりお耳にかかりましょう。

最近の法話

【第1218話】
「二面石」
2021(令和3)年10月21日~31日

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1218話です。 先般、奈良県明日香村にある天台宗の橘寺をお参りする機会がありました。付近に聖徳太子が生まれた場所があります。橘寺も聖徳太子が建てた寺院のひとつです。当然の如く本尊には、聖徳太子像を祀ってあります。建立年代は不明ですが、「日本書紀」に寺の存在が記されているので、1500年以上の歴史があるようです。 そこに「二面石... [続きを読む]

【第1217話】
「品位(ひんい)と品位(ほんい)
2021(令和3)年10月11日~20日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1217話です。 「皇室経済法6条」には、皇族が身分を離れる際には、品位保持のため一時金を支給する旨が定めれています。渦中の眞子さまが小室さんと結婚するにあたり、その一時金を辞退しました。1憶3725万円という額です。「小室家の金銭トラブル」ゆえのことなのでしょう。二人の結婚の意思は固いものの、... [続きを読む]

【第1216話】
「念仏」
2021(令和3)年10月1日~10日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1216話です。 「念仏申すより田を作れ」という諺があります。極楽往生を願って念仏を唱えるより、田んぼに出て米を作れということで、直接利益になることに精を出せということでしょう。我が町には各地区ごとに念仏講がありましたが、今や風前の灯となってしまいました。米の収穫が増えたからではなく、念仏講員が... [続きを読む]