テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第811話】「完全試合」 2010(平成22)年7月1日-10日

20100701-3.jpg お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第811話です。
 大リーグはさすがに大きいです。その歴史や規模は勿論ですが、心が大きいです。6月2日大リーグのタイガースのガララーガ投手は、インディアンズ戦で9回ツーアウトまで1人の走者も出さず、完全試合を続けていました。27人目の最後の打者も一塁ゴロになり、一塁手が補球し、ベースカバーに入ったガララーガ投手に送球。誰もがアウトを確信しました。しかし判定は「セーフ」でした。当然監督は抗議をしましたが、判定が覆ることはありませんでした。この時「完全試合」は幻となったのです。
 試合後、判定を下した一塁塁審のジョイス審判員はビデオを見て、自分の判定が誤りであったことを認め、完全試合を台無しにしたことを謝罪しました。当のガララーガ投手は「完全な人間はいないから」とジョイス審判員をかばったそうです。そして翌日の試合前に、ジョイス審判員のもとに歩み寄り、握手を交わしました。ジョイス審判員は涙が止まらなかったといいます。
 メディアは「世紀の誤審」「判定を覆すべきだ」などと批判し、ホワイトハウス報道官が「完全試合が認められることを求める」というコメントまで出す始末になりました。しかし、誤審の判定が覆ることはありませんでした。それどころか、審判や判定について、大リーグの100人の選手にアンケート調査をしたところ、「最も優れた審判」に、ジョイス審判員がトップで支持を得ました。その理由は「いつも公平な判定をしている」というこれまでの実績が認められたからです。そして「誰もがミスをする。今回は彼に起こっただけ」という人間が人間を認める大きな心が働いたからでしょう。
 大リーグ140年の歴史の中でも、完全試合を達成した投手は20人しかいません。それほどの偉業があと一人というところで、しかも誤審によってふいになるとは、悔やんでも悔やみきれないというのが普通の感情でしょう。それを赦せるとは、やはり心が大きいと言わざるを得ません。そして忘れてはならないのは、ジョイス審判員も自分の過ちを素直に認め謝罪していることです。完全なのは神以外には存在しないのだというキリスト教的な考えが根底にあるのかもしれません。
 そういえばシェークピアの言葉に「神々は われわれを人間にするために なんらかの欠点をお与えになる」というのがあります。人間には過ちや欠点があって当たり前と思えばこそ、他人の過ちを赦す心を持ち、自分の過ちを認める謙虚さが生まれるものなのでしょう。野球は1点でも多く点数をあげ、27回アウトを取ったチームが勝ちです。人生ではお互いの欠点という点数を補い合うチームプレイこそが求められ、数え切れないアウトを重ねた果てに完成するものなのではないでしょうか。
 ここで ご案内致します。この徳本寺テレホン法話をまとめた『僧が語る印笑的な話』という本を、一冊1,500円にて好評発売中です。一冊お求めいただくと、カンボジアの子どもたちに絵本を一冊プレゼントできます。ご希望の方は、電話0223-38-0320徳本寺までお申し込み下さい。送料無料にて、お届致します。
 それでは又、7月11日よりお耳にかかりましょう。

最近の法話

【第1179話】
「波羅蜜生活償還」
2020(令和2)年9月21日~30日

news image

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1179話です。 「人間の70歳は車で言えば中古車です。どこか故障してあたりまえです。車ならエンジンやブレーキが具合悪ければ、修理や部品交換はできますが、人間の場合、部品交換はたいへんです。だから日頃の生活習慣が大事なんです。生活習慣を疎かにして、がん検診を受けても本末転倒です」 先日、町の総合健診でお医者さんからそう言われまし... [続きを読む]

【第1178話】
「引き出物」
2020(令和2)年9月11日~20日

news image

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1178話です。 「これはファクシミリというものです。書いた文字をそのまま即座に送ることができます。私の寺では塔婆の申し込みは、名前の間違えなどがないように、すべてファクシミリでお願いしています。個人の家になくても、花屋さんなどには備えてありますから、そこから送れます」これは横浜のある寺院の法要... [続きを読む]

【第1177話】
「お地蔵さんのバトン」
2020(令和2)年9月1日~10日

news image

住職が語る法話を聴くことができます 紅唐辛子 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1177話です。 先日の暑い昼下がりのこと。Kさんという女性が訪ねて来られました。お地蔵さんの寸法を測らせてくださいというのです。そのお地蔵さんとは、30年前から山門前に立っている「わらしこ地蔵」のことです。それはお檀家のAさんご夫妻が、早くに亡くされた娘さんのご供養とすべての子どもた... [続きを読む]