テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第829話】「餅つきのツキ」 2011(平成23)年1月1日-10日

住職が語る法話を聴くことができます

201101_70.jpgお元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第829話です。
あけましておめでとうございます。どなたも「今年こそは―」と思うことがおありでしょう。もし何か悪いことがあったなら、それを断ち切って今年こそは良い年にしたい。これまで叶わなかった願いを、今年こそは実現したい。毎年「今年こそは」と思いながら、過ぎてみれば「今年も思ったようにいかなかった」という結果に終わることも多いようですが、「今年こそは」そんな悲観的な思いは捨てましょう。
自分だけの幸せを願うあまり、叶わない場合は落ち込みます。しかし、自分以外の人や世の中全体の幸せをも願うなら、誰か一人でも幸せな人がいた時は、自分も嬉しくなるはずです。今年は兎歳ですが、お釈迦さまの前世はウサギだったという物語があります。
そのウサギは常々、良い生き方をしたいと願って、森の仲間たちに話をしていました。「修行者が来たらその方に施しをしよう。良いことをすれば必ず良いことがある」。ある時、みんなで施しをすべく、獲物を探しに行きました。カワウソやイヌは盗んだ獲物を修行者に差し出しましたが、修行者は盗んだことを見抜き、施しを受けませんでした。ウサギはと言えば、枯れ枝しか収穫できませんでした。そして修行者に言いました。「何も食べ物を収穫できませんでしたが、誰もがしたことのないような施しを致しますので、この枯れ枝に火をつけて下さい」。
ウサギは体についた虫たちが焼け死なないように、三度身震いして振るい落としてから、燃え上っている火に自らの身を投げ入れたのです。ところが、火はウサギの毛一本も燃やすことはありませんでした。食べ物を何も差し上げられなかった替わりに、我が身の丸焼きを食べていただこうとしたウサギはキツネにつままれたかのようでした。修行者は言いました。「実は私は天上界に住む帝釈天である。君を試すためにやって来た。身を捨ててまで施しをしようとする君の姿は尊い。このことを全世界の人に伝え、君の徳を称えよう」。こうして帝釈天はウサギを月に連れて帰ったそうです。それが月にウサギが棲む伝説になり、そのウサギの生まれ変わりがお釈迦さまだというわけです。
さて、ウサギが餅つきをしていると思って月を眺めるのは風流なことです。お正月にお餅を食べた方は更に月のウサギに思いを馳せて下さい。餅は振る舞うものです。どこかの先生の餅代は別として。ウサギが餅をついているのは、お釈迦さまの尊い施しの心を実践しようという表れではないでしょうか。今年こそはと、自分の幸せを願うことは勿論です。更に今年もみなさんに幸せになってほしいと、餅を配ることができるような生き方をしたいものです。「良いことをすれば必ず良いことがある」。我が身を捨てたウサギのような、での餅つきの心で、他を思いやるならば、思いがけないツキも巡って来るかもしれません。
それでは又、1月11日よりお耳にかかりましょう。

最近の法話

【第1252話】
「命を数える」
2022(令和4)年10月1日~10日

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1252話です。 そのバスは、エンジンを切った後、運転手はアラーム音を切るために、後部まで歩いていく必要があります。多少面倒であっても、その往復の間に車内点検ができるからです。通園バスに子どもが取り残されていないか確認するための仕組みとして、アメリカで用いられています。通園バスの子ども置き去りは、日本ばかりではなく、各国で起きてお... [続きを読む]

【第1251話】
「到彼岸」
2022(令和4)年9月21日~30日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1251話です。 安倍元首相の国葬に反対の声が大きくなっています。その理由の一つに、きちんとした法の定めがないからです。一方、春秋の彼岸の中日にあたる、春分の日と秋分の日は、祝日法によりその意義も定められています。春分の日は「自然をたたえ、生きものをいつくしむ」、秋分の日は「先祖を敬い、亡き人を... [続きを読む]

【第1250話】
「寛恕なる家族葬」
2022(令和4)年9月11日~20日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1250話です。 「惜別の機会を近所の人にも」という新聞投書がありました。75歳のAさんが亡くなったとき、その息子さんに「近所の人には葬儀に来て頂かなくて結構です」とBさんは言われました。Bさんは独り暮らしのAさんの通院の送迎をしていたほど親しかったのです。身内だけの葬儀もいいが、親が頼りにして... [続きを読む]