テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第909話】「春告げ鳥」 2013(平成25)年3月21日-31日

住職が語る法話を聴くことができます

909_17s2.jpg お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第909話です。
 一年を通して毎朝6時に梵鐘を撞きます。おかげで、ささやかなながら、季節の定点観測ができます。今年鶯の初鳴きを聞いたのは、3月16日でした。去年は3月26日でしたので、10日も早いことになります。勿論、そんなに厳密に観測をしているわけではなく、鐘を撞いていてたまたま聞こえてきた。それを覚えていた日という程度の記録です。因みに大震災のあった一昨年の初鳴きは、3月31日に聞いています。私は同級生を13人も失っていますので、「鶯の初鳴き哀れ友の逝く」と俳句のようなものを書き留めたことを覚えています。
 さて鶯の鳴き声は、ご存じのように「ホーホケキョ」です。これは「法華経」というお経のお題目を唱えているように聞こえるといわれます。それにはこんな謂われが伝えられています。カッコウは鶯の巣に自分の卵を托卵させるそうです。それを知ってか知らずか、鶯の親鳥は自分の卵と一緒にカッコウの卵も抱いて、雛をかえしました。ところがカッコウの雛は、鶯の雛を巣から押し出して、自分だけが餌をもらって育ちます。鶯の親鳥はいぶかしみながらも、このカッコウを我が子と思って育てますが、ある時、成長したカッコウは、何の断りもなく巣立ってしまします。諦めきれない鶯は、「ホー法華経」とお経を唱えながら、わが子を探して巡礼しているというのです。
 「ホーホケキョ」という鳴き声は、いなくなった我が子を探す声だとすれば、哀れを誘います。今思えば大震災の年、鶯の初鳴きを聞いた3月末のころというのは、連日行方不明の家族を探している方がたくさんいらっしゃいました。ご遺体が発見されて、身元が判明したので供養をしてほしいという依頼も続いていました。鶯の親鳥のように、亡くなった人を想い泣きくれる日々でした。そういえば、鶯は「梅に鶯」といわれるように粋な鳥のようですが、実は葬式の隠語でもあるのだそうです。その心は、「鶯は泣き(鳴き)ながら埋め(梅)に行く」からだそうです。梅の花と、遺体をお墓に埋めるをかけたものです。
 それでも、鶯の初鳴きが、大震災から年を追って早くなっているということは、単に気候が暖かくなっているというだけでなく、何か暗示的なものを感じます。今年は大震災の年から比べたら半月も早いのです。今年の鶯は、梅(埋め)に行くのではなく、梅を呼ぶ鳥のはずです。心に宿った冬のような辛さ寂しさから、少しずつ立ち直って、早く春を感じて欲しいと、鶯も励ましているのではないでしょうか。やはり鶯は「春告げ鳥」です。
 それでは又、4月1日よりお耳にかかりましょう。

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