テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第803話】「裸電球」 2010(平成22)年4月11日-20日

20100411.jpgお元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第803話です。
「裸電球」という言葉は、間もなく死語になるかもしれません。哀愁漂うもの悲しさをイメージさせ、蛍光灯よりもぬくもりを感じ、より自然に近い明るさではないでしょか。しかし、その電球、正式には白熱電球というそうですが、消え行く運命にあります。
日本で初めて白熱電球を製造した東芝が、3月17日に120年の歴史に幕を下ろして、製造を中止しました。白熱電球は東芝の創業者のひとりである藤岡市助氏が1890年(明治23年)に実用化しました。暗闇にまばゆく光る電球の明るさに、人々は「世界から夜が消えた」と歓喜の声をあげたといわれています。
しかし、世を照らし、人々の暮らしを支えてきたこの白熱電球も、地球温暖化に対しては、決して好ましい存在ではなくなったというのです。消費電力が大きいためです。事実、政府は2012年度までに白熱電球の製造をやめるよう各メーカーに要請しています。
東芝も今後は、省エネ性が高く、寿命も長い電球型蛍光灯や発光ダイオード(LED)電球に生産を移すことになります。白熱電球をやめLEDなどに置き換えることにより、二酸化炭素の排出量は年間約43万トンの削減効果が見込まれるといいます。今後私たちとしても、省エネ性が高い電球を使っているからといって、点けっ放しでいるようなことのないように、地球温暖化に心しなければなりません。
しかし、点けっ放しにしておいた方がいい灯りもあります。それは仏さまの教えという灯りです。心に闇を抱え、進む先が見えなくなるときがあります。そんな時、お寺の仏像や、ご先祖さまのお墓の前で静かに手を合わせると、不思議なことに気持ちが楽になり、新たに歩く意欲が生まれます。それは、仏さまの灯りは裸電球のように、余計な傘を被っていないので、こちらも素直になれるのかもしれません。そうです。仏さまの灯りは、私たちの心をこそ温暖化にしてくれます。
ここでご報告致します。3月のカンボジアエコー募金は、133回×3円で399円でした。ありがとうございました。
それでは又、4月21日よりお耳にかかりましょう。

最近の法話

【第1351話】
「明月院ブルー」
2025(令和7)年7月1日~10日

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1351話です。 「紫陽花や きのふの誠 けふの嘘」正岡子規の句です。紫陽花の色の変化を、人の心の変わりようや迷いに喩えているのでしょうか。紫陽花の季節、アジサイ寺・鎌倉の明月院を拝観する機会がありました。 山門に至る緩やかな石段の両脇に咲く夥しい紫陽花に迎えられました。境内も紫陽花の海という感じです。「明月院ブルー」と称される... [続きを読む]

【第1350話】
「欲と水」
2025(令和7)年6月20日~30日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1350話です。 46億年前、地球ができたころ、まだ海はありません。3億年ほど経って、地球の表面が冷めると雨が降り始めました。何と千年間も降り続けたそうです。現在のような海になるまでには、更に7億年を要します。こうして36億年前に生命の起源が海に生じたと考えられます。ヒトの出現はずっと後のことで... [続きを読む]

【第1349話】
「背番号3の背中」
2025(令和7)年6月11日~20日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1349話です。 好きな数字はと訊かれたら、迷いなく「3」と答えます。勿論長嶋茂雄さんの背番号だからです。小学生の頃その背中に憧れました。ユニフォームなど買ってはもらえないので、「3」という背番号を手作りした覚えがあります。 当時まだテレビはなく、たまにラジオで野球中継を聴くぐらいでした。そし... [続きを読む]