テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第843話】「まけない!タオル」 2011(平成23)年5月21日-31日

 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第843話です。20110521_1.jpg
 日本語はおもしろいです。「まけない」といったら、みなさんは何を思うでしょうか。今なら東日本大震災に遭遇して、それでもこの悲惨な状況に負けずに生きていこうと誰もが思うことでしょう。その通りでが、首にタオルを巻く、巻けないの「まけない」という言葉もあります。ということで「まけない!タオル」なるものを発案した方がいます。
 山形県の曹洞宗松林寺住職三部義道さんは、大震災の被災地にいち早く乗り込んで、ボランティアの先駆として活動していました。そんな中で、普通のタオルよりちょっと短めで、青地に白抜きで「まけない!」と書いたタオルを考えました。首にも頭にも巻けない、だけど、大震災にも負けない、私は負けないという思いを込めたものです。おやじギャグと言うなかれ。ただ「負けない」と言っても、言葉だけでは説得力に欠けます。首に巻けないけど、私も負けないとそのタオルを手に持って、意を強くしていただきたいという願いがあります。このタオルの支援金で、被災地にタオルと炊き出し等の支援を直接届けることができます。被災された方と支援者をつなぐメッセージにもなります。
「頑張ろう」という言葉は、巷に溢れていますが、被災している方にとって、ギリギリのところで精一杯やっているのに、これ以上何をどう頑張ればいいのと思う方もいます。そこに「まけない!タオル」の案内が届きました。「頑張る」は「我を張る」が語源だそうですが、それよりは「負けない」には「自分はこれ以上へこたれないぞ」という緩やかな力強さが感じられます。迷わず賛同の意思表示をし、ついでながら、この運動のテーマソングもあった方が、より広がりが期待できるのではと、思いつきで書いた歌詞を三部さんに送りました。
 つながりはあるものです。この運動にいち早く賛同していた奈良県の浄土真宗教恩寺の尼僧さんでシンガーソングライターのやなせななさんが、この歌詞を見るや、24時間もしないうちに曲をつけて素敵な歌に仕上げて下さいました。
         ♪まけないぞ まけないぞ 首にも頭にも
           まけないタオル 半端じゃないぞ
           泥にまみれて 明日が見えなくなっても
           まけないタオルが 拭ってくれる
           ほら 笑顔と一緒に明日が来るのさ
           まけないぞ まけないぞ 夕陽にまけない
           紅い血潮が 流れている限り
 大津波に襲われた我が山元町も、空の青さを感じられるようになりました。ヘドロで黒々としていた大地も地肌が見えるようになりました。それに比例して、集められた瓦礫の山が日々高くなっていきます。これまで我々が頑張って築いてきたものが、これなのかと思うと、頑張るという言葉に、虚しさを覚えます。でも、命あって、身体中を流れている血潮を感じる時、ご先祖さまから「しっかりせよ」と言われているような気がします。今こそ、千年に一度の「なまけない」精進を致しましょう。
 それでは又、6月1日よりお耳にかかりましょう。

最近の法話

【第1162話】
「ゾウさんの縁」
2020(令和2)年4月1日~10日

news image

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1162話です。 お釈迦さまの母マーヤ夫人(ぶにん)は、白い象が体の中に入る夢を見て、お釈迦さまを身ごもったと伝えられています。当時は白い象が夢の中に出てくるのは、尊い方が生まれる証と信じられていました。そして、出産のため里帰りをする途中、ルンビニーの花園で、にわかに産気づき、お釈迦さまをお産みになりました。2500年程前の4月8... [続きを読む]

【第1161話】
「その始まり」
2020(令和2)年3月21日~31日

news image

住職が語る法話を聴くことができます 永六輔さんの色紙 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1161話です。 「ひとつの文字がその始まり・・・」という歌詞で始まる「ひとつの心」という歌で、コンサートの後半が始まりました。徳泉寺復興感謝祭5DAYSの第1日目のやなせななコンサートでのことです。それは東日本大震災から9年の3月11日に、津波で流出した徳泉寺本堂が再建された... [続きを読む]

【第1160話】
「かすり傷なんだから」
2020(令和2)年3月11日~20日

news image

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1160話です。 東日本大震災より9年が経ちました。1日1日はあっという間に過ぎてしまうのに、1年1年はとても長く感じられました。1日だけで振りかえると、1ミリも復興に進んでいないのに、もう日が暮れたというもどかしさがありました。1年毎に被災地を見渡せば、あと何年経ったら普通の生活に戻れるのだろ... [続きを読む]