テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第1004話】「せんかい」 2015(平成27)年11月11日-20日

住職が語る法話を聴くことができます

1004.jpg
 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1004話です。
 「次の千回まで頑張ってつなげてください。いい加減にせんかい(千回)と言われても・・・」という手紙をある男性からいただきました。その方はこのテレホン法話の千回達成を記念した「テレホン法話ライブ」に態々横浜から来られたのです。有り難いことですが、次の千回達成までは、これから28年もかかります。年齢的に誰も保障はしてくれないでしょう。
 それにしても、横浜以外にも、東京・福島・岐阜そして石川県という遠くから参加された方もおられました。県内の曹洞宗婦人会のみなさんはバス一台を仕立ててお出で下さいました。28年もかかりましたが、千回続けて来た甲斐がありました。この間、約5万回の通話回数が記録されています。
 どうして「テレホン法話ライブ」というかと言えば、普段は電話で聴いていただいている法話を、直接本堂で生の声で聴いていただくからです。しかも、法話に相応しいピアノ演奏が流れる中で語り、関連する映像も流れます。しかもピアニストの伊藤智哉さんは、ピアノの譜面を見ることはなく、譜面台にあるのは、私の法話の原稿です。法話とピアノの息が合わないわけがありません。
 更に今回は初めて御詠歌を採り入れました。徳本寺御詠歌講を指導していただいている岡崎るみ子さんに、2つの法話の中で、内容に因んだ御詠歌を唱えていただきました。大変好評でした。アンケートにも、ジーンと胸に来て感動しましたなどという感想が寄せられました。御詠歌の節は一音が長いので、譜面がないとたいへんなはずですが、岡崎さんも譜面なしで、凛とした着物姿でお唱え下さいました。
 今回のライブをするにあたり、法話をする私も、ピアノも御詠歌も、映像や音響も、何度もリハーサルを重ね、本番に臨みました。ライブはやり直しがききません。リハーサルで譜面を見ていて、本番で譜面を見ないというのは勇気のいることです。譜面にこだわり練習を重ね、いざ本番では譜面に囚われず、自分本来の力量を発揮できれば最高です。今回のピアノと御詠歌はその通りでした。「放てば手に満つ」の禅の境地です。
 同じように人生も毎日がリハーサルであり、本番です。今日はリハーサルだからと適当に過ごしていないでしょうか。今日という日は二度とないのですから、本番そのものです。そして今日という日は、昨日までのリハーサルのような積み重ねの上で迎えたのです。28年間千回の法話の上に、今日の一話があります。それならもっと上手に話をせんかいと言われそうですが・・・。
 ここでお知らせ致します。テレホン法話の千話を記念して、テレホン法話集『千話一話―3.11その先へ』(定価千円)が発売されました。書店もしくは徳本寺でお求めください。徳本寺にはこちらからお申込みください。
 それでは又、11月21日よりお耳にかかりましょう。

最近の法話

【1308話】
「花咲か爺さん」
2024(令和6)年4月21日~30日

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1308話です。 枯れ木に花を咲かせたのは「花咲か爺さん」、被災地の荒地に花を咲かせたのは「NPO法人三島緑の会」です。静岡県三島市の団体で、東日本大震災後の2013年から日本沙漠緑化実践協会の植樹活動に参加し、毎年山元町に桜を植樹して下さっています。一昨年はコロナ禍のためお出でいただけませんでしたが、苗木を送って下さいました。縁... [続きを読む]

【1307話】
「揺らがず大遠忌」
2024(令和6)年4月11日~20日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1307話です。 たとえばですが、「正月の元旦に地震の避難訓練をします」と言われて、参加しますか?正月早々とんでもないと、誰でも思います。しかし無常なる自然は、正月とか人間の都合に忖度しません。能登半島では元旦にとんでもない地震が起きたのです。 実は能登半島は曹洞宗にとっては聖地です。曹洞宗に... [続きを読む]

【1306話】
「シッダールタ」
2024(令和6)年4月1日~10日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1306話です。 「文殊丸」「行生」という2人の名前で、どなたかわかりますか。ヒントはどちらも曹洞宗に関わる方です。文殊丸は大本山永平寺を開かれた道元禅師、行生は大本山總持寺を開かれた瑩山禅師の幼名です。昔は幼い時に仮に名付ける名前や元服以前の名前を持つことがあったようです。 さて、4月8日は... [続きを読む]