テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第1021話】「心が折れる」 2016(平成28)年5月1日-10日

住職が語る法話を聴くことができます

1021.JPG お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1021話です。
 JR九州新幹線の全線開業は、平成23年3月12日でした。その前日の3月11日に東日本大震災が発生しました。被災地の私たちは、そのニュースを全く知らずに過ごしたはずです。町全体の地理的方角も行く末もわからなくなった、想定外の光景が広がる中で、世の中の日常を受け容れる余裕はありませんでした。あれから5年、その九州新幹線が脱線しました。4月14日に発生した熊本地震の為です。
 「平成28年熊本地震」は、4月14日午後9時26分に震度7を記録し、16日午前1時46分にも発生して、これも震度7でした。震度7が2度も続くのは史上初めてだそうです。2度目のが「本震」で、最初は「前震」だったと発表されました。震度7で前触れとは誰も思わないでしょう。それだけ大きい揺れがくれば、「余震」が続くことは想定できても、更に「本震」が起きるとは、これまでにないことでした。「1回で済んだらまだよかったが、2回目で近所の家も倒壊し、心も折れた」と、熊本の被災者は言っています。
 東日本大震災の時も、地震だけならそれほどの被害ではなかったはずです。その後に襲った大津波が、甚大な被害をもたらしました。1回目の恐れは、それはそれでたいへんな思いをするでしょう。しかし、過ぎ去ってしまえば、何とか難を逃れたと安堵して当たり前です。もう大丈夫とさえ思うかもしれません。それなのに、続けざまに同じような或いはそれ以上の恐ろしいことが襲ってくれば、心も折れるでしょう。
 九州の被災地では、まだ緊急事態という段階で、衣食住の基本的な日常生活にも窮していると思われます。そんな時に気持ちだけはしっかりして下さいとは言いにくいものです。それよりも、心が折れたということを、自分なりに自覚することが大事ではないでしょうか。その上で、いつかはこの折れた心を立て直してやるという密かな想いを抱くことが大切です。そのために、今まで当たり前にしてきたことを全てその通りにやることは出来なくても、何か一つでも二つでも、日常的な仕草や行いをこれまで通りにやり続けてみて下さい。
 たとえば、食事をするとき、手を合わせて「いただきます」と唱えることだってかまいません。混沌とした避難生活の中で、そんな余裕はないよと言われるかもしれません。確かに避難生活は非日常です。非日常に慣れてしまうと、何をしなくても或いは何をやっても、こんな時だからと許してしまう雰囲気が漂ってしまいます。そうなると、折れた心が元に戻るのに時間がかかります。
 5年前の今頃、私は被災地という非日常の中にあって、5分でも10分でも朝の坐禅をするという日常だけは崩さないようにしようと、心がけたことを思い出します。坐禅は折れた心のつっかい棒になっていました。
 それでは又、5月11日よりお耳にかかりましょう。

最近の法話

【第1218話】
「二面石」
2021(令和3)年10月21日~31日

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1218話です。 先般、奈良県明日香村にある天台宗の橘寺をお参りする機会がありました。付近に聖徳太子が生まれた場所があります。橘寺も聖徳太子が建てた寺院のひとつです。当然の如く本尊には、聖徳太子像を祀ってあります。建立年代は不明ですが、「日本書紀」に寺の存在が記されているので、1500年以上の歴史があるようです。 そこに「二面石... [続きを読む]

【第1217話】
「品位(ひんい)と品位(ほんい)
2021(令和3)年10月11日~20日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1217話です。 「皇室経済法6条」には、皇族が身分を離れる際には、品位保持のため一時金を支給する旨が定めれています。渦中の眞子さまが小室さんと結婚するにあたり、その一時金を辞退しました。1憶3725万円という額です。「小室家の金銭トラブル」ゆえのことなのでしょう。二人の結婚の意思は固いものの、... [続きを読む]

【第1216話】
「念仏」
2021(令和3)年10月1日~10日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1216話です。 「念仏申すより田を作れ」という諺があります。極楽往生を願って念仏を唱えるより、田んぼに出て米を作れということで、直接利益になることに精を出せということでしょう。我が町には各地区ごとに念仏講がありましたが、今や風前の灯となってしまいました。米の収穫が増えたからではなく、念仏講員が... [続きを読む]