テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第999話】「回向とエコー」 2015(平成27)年9月21日-30日

住職が語る法話を聴くことができます

999.jpg  お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第999話です。
 3つの同じ形・大きさのコップが並べてあります。それぞれに何やら文字のようなものが書いてあります。「この字を読めますか」と講師の方が尋ねます。誰も読めません。それはカンボジアの言葉であるクメール語なのです。3つのコップには「水」「薬」「毒」と書いてあるそうです。クメール語が読めない私たちが、喉が渇いている時、その3つのコップが目の前にあれば、「毒」のコップを手にする可能性もあるわけです。文字を読めないということは、命にかかわることがあるのです。現実にカンボジアでは、そのような危険が身近にあるほど識字率が低いということを、カンボジアの教育事情をテーマにした講演会で学びました。
 このテレホン法話では、平成18年より「回向(えこう)募金」という活動をしています。3分間聴いていただくと、3円を「カンボジアの子どもたちに絵本を送る運動」の募金にするということを、私のルールとしました。「回向」とは仏教で供養を意味します。自分の善い行いの結果を、他の成仏のために回し向けるということです。テレホン法話を聴くという功徳を、カンボジアの子どもたちに向けたいという願いが「回向募金」です。
 更にこれまで、このテレホン法話をまとめた「テレホン法話集」を何冊か出版してきました。多くの方にお買い上げいただいた代金も、まさに「回向募金」です。それらの募金により、6タイトル合計18,000冊の絵本を、カンボジアの子どもたちにプレゼントすることができました。これらの本は、一人ひとりに贈るというのではなく、学校・図書館・移動図書館などに置かれます。1冊の絵本が何百人もの子どもたちに、何回となく読まれるのです。手垢がついて、ボロボロになるまで読み込まれます。
 さて、次回のテレホン法話は、1000話という大きな節目を迎えます。これまで続けられたのは、毎回必ずどなたかが聴いて下さっているおかげです。改めて感謝申し上げますと同時に、感謝の回向として、カンボジアの子どもたちに7タイトル目の絵本を贈ることを発願致しました。シャンティ国際ボランティア会(SVA)を通じまして、絵本作家田島伸二の『パンダのりんごとり』を原本とした絵本を、新たにカンボジアで制作し、子どもたちに贈ります。
 絵本を読むことはお話の世界へ心が広がり、文字に親しむ一番のきっかけとなります。文字が読めないばかりに命を落とすなどということがあっては、あまりにもやるせない話です。この度の絵本が、SVAが掲げる「本の力を生きる力に」という理念に適うなら幸いです。そしていつの日か、カンボジアの子どもたちの中で日本語を学び、このテレホン法話を直接聴く人が現れることを夢見ています。その子どもたちのほほえみが、こだまのように返ってきたら、「エコー」の本望です。
 それでは又、10月1日よりお耳にかかりましょう。

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