テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第1239話】「ランドセルと頭陀袋」 2022(令和4)年5月21日~31日


 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1239話です。

 「シックスポケット」という言葉をご存知でしょうか。6つのポケットですが、実際は6人の財布ということです。1人の子どもに対して、両親2人と祖父母4人の6つの財布から、モノが買い与えられることを指します。

 そのモノのひとつがランドセルです。少子化で小学1年生の児童数は減少しているにもかかわらず、ランドセル市場は成長を続けています。単価が上昇しているからです。昔は男の子は黒、女の子は赤のランドセルが定番でした。今は様々な色を選べます。あるメーカーでは9色もの色があり、ふたを開けたときに、内側は単なる皮ではなく色模様が施してあります。こだわりのランドセルが目白押しです。

 子育て世帯の懐事情はきびしいものの、祖父母の援助が得やすいため、ランドセルは贅沢になってきています。ランドセル工業会の調査によると、ランドセルの平均購入金額は2011年には3万6500円でしたが、10年後の2021年には5万5300円になっています。小学校6年間毎日使うものだから、質の良いものをとなるのでしょうか。ともかく真新しいランドセルの小学1年生が、学校や友だちに対して、純粋に期待を抱き通学している姿はほほえましいものです。

 さて、小学生はランドセルですが、私たち修行僧にも持ち歩く容れ物があります。それは頭陀袋です。お袈裟やお経本などを入れておくための袋です。首から掛けられるようになっています。頭陀とは漢字では頭に仏陀の陀と書きますが、元々はサンスクリット語のドゥ-ダの音訳です。頭陀行といわれるように、仏道修行を意味します。

 僧が衣食住に対する執着を捨て、純粋に修行することが頭陀です。具体的には捨てられた布切れなどで作った粗末な衣を着る。食べ物は人々から布施されたものだけをいただき、一日一食。俗界を離れて樹木の下に住む。横にならず常に座ることなどがあげられます。まるで仙人のような生き方です。現在の頭陀行は、特に托鉢をして諸国を行脚することをいうようになりました。その時携行するのが頭陀袋です。

 修行僧は「シックスポケット」ならぬ六道を超えようと頭陀行に励みます。六道とは地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上の6つの世界のことです。人間の心の表われをいいます。欲望や煩悩にまみれて思い通りにならないと迷っている姿です。六道という迷いの世界を超えて、悟りに至るためには、諸々の執着を離れるのが一番であり、托鉢行脚の頭陀行は欠かせません。

 「シックスポケット」の期待を受けつつ、1年生は純粋無垢です。しかし、長じて様々な迷いや悩みに苦しむこともあるかもしれません。たとえ迷っても、修行僧が頭陀袋を下げて純粋に修行を続けていくように、新1年生のみなさんも、ランドセルを背負った時のまっさらな気持ちを忘れず、健やかに成長されますようお祈り申し上げます。

 それでは又、6月1日よりお耳にかかりましょう。

最近の法話

【1311話】
「マンダラチャート」
2024(令和6)年5月21日~31日

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1311話です。 昨年大リーグで二刀流の上、本塁打王にも輝いた大谷翔平選手。今年も活躍しています。その原点は高校時代にあったようです。岩手県花巻東高校の1年生の時、佐々木洋監督に教えられた「目標達成シート」の作成です。 これは「マンダラチャート」ともいわれます。9×9の合計81マスに、細分化した目標を書き込むのです。まず中心に3... [続きを読む]

【1310話】
「鬼より強い母の愛」
2024(令和6)年5月11日~20日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1310話です。 昔インドに訶梨帝母(かりていも)という母がいて、千人もの子ども産みました。しかし、子を育てる栄養をつけるため、よその子を捕まえて食べるという鬼のような行いで、人々から恐れ憎まれていました。ある時、お釈迦さまは一計を案じ、彼女が一番可愛がっていた末の子を隠します。すると彼女は気も... [続きを読む]

【1309話】
「なぜ大人が生まれてこない」
2024(令和6)年5月1日~10日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1309話です。 「生まれてくるのはなぜ赤ちゃん」という郁人君(8)の新聞投書を紹介します。おばさんに子どもが生まれて、抱っこさせてもらい、そこで感じたことを書いています。「ちっちゃいけれど、大人と同じものがいっぱいありました。赤ちゃんは今のぼくとちがい、やりたいことを泣いて知らせることしかでき... [続きを読む]