テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第1171話】「自然の流れ」 2020(令和2)年7月1日~10日

 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1171話です。

 ビニール袋を英語では、プラスティックバッグと言います。また厳密には、ビニール袋・ポリ袋・ナイロン袋の成り立ちは違いますが、名称としてはあまり区別しないで使っていませんか。加えて立派な市民権を得ているのがレジ袋です。

 そして、プラスティック製のレジ袋が、この7月から原則として有料になりました。脱プラスティックの取り組みです。一般的なプラスティックは分解されにくいため、海の生き物に飲み込まれたり、体に絡まったりして、生態系を脅かすと言われています。30年後には、海のプラスティックごみが、魚の重量を上回るという試算さえあります。焼却しても二酸化炭素を排出するので大気汚染につながります。

 今や私たちの生活になくてはならないプラスティック製品ですが、自分で自分の首を絞めているかもしれません。便利さを享受しているうちに、じわじわと地球環境を破壊しています。国内で年間に廃棄されるプラスティック製品は、900万トンですが、レジ袋の割合はわずか数パーセントだそうです。それならレジ袋だけを有料化にしても効果がないのでは、と思うかもしれません。しかし、これだけ身の回りに溢れているのに数パーセントなら、100パーセントはどれだけの量かと想像してみてください。そして、最初から100パーセントではなく、1パーセントの積み重ねの結果であることを肝に銘じ、まず自分が手直にできることから脱プラスティックを始めましょう。

 その昔のアイヌの人の言い伝えに感心したことがあります。親子で山に入り、水が流れているところでは、親は必ず顔を洗い、大木の前に立つと、立ち止まり木肌に手を添えて、大きくなったなと声をかけるそうです。やがて、子どもも親がやったように、流れで顔を洗い木に声を掛けるようになるそうです。つまり、顔を洗えるようなきれいな流れを保とうと心を配り、自然の生き物を大切にしようという思いやりが、それこそ自然に培われるのでしょう。

 曹洞宗大本山永平寺の参道には、道元禅師の言葉が刻まれた大きな石柱が建っています。「杓底一残水 汲流千億人(しゃくていのいちざんすい ながれをくむせんおくにん)」道元禅師は柄杓で川の水を汲み、必要なだけいただき、残りを川の流れに戻されました。流れの先に住む人のため、子孫のために、一滴の水も無駄にしないという心構えです。そこには、自分一人だけよければいいというのではなく、自然に生かされ、人と人もお互い支え合って生きていく大切さが説かれています。

 ここ数カ月コロナ感染防止から、食事を持ち帰りする機会が増え、回収されるプラスティック容器包装が、前年より7~8パーセント増えているそうです。便利さをどれだけ自粛できるかも、コロナに試されているとしたら、長い目ではこれも自然のことなのでしょうか。

 それでは又、7月11日よりお耳にかかりましょう。


永平寺参道の石柱

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