テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第1154話】「人生のセオリー」 2020(令和2)年1月11日~20日

 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1154話です。

 人生の最期に食べたいものは何ですかと聞かれたら、迷うことなく「お寿司」と答えます。生臭坊主と謗られることは覚悟の上です。お寿司を日常的に食べている人は少ないでしょう。ハレの日の食事という感じでしょうか。人生最期がハレの日と言えるかどうかは別として・・。

 さて、お正月の風物詩になりつつあるような東京・豊洲市場の「初競り」でのマグロの落札価格。今年は青森県大間産の276キロのクロマグロが、1億9320万円を記録しました。1キロ当たり70万円もします。去年は同程度のマグロが3億3360万円でしが、それに次ぐ史上2番目の高値でした。

 276キロがどのくらいのものかと言えば、元大関小錦関が現役時代、大相撲史上最重量と言われた体重は、285キロでした。最近ではロシア出身の大露羅関が、292.6キロでそれを抜きました。大相撲の世界でもあまりお目にかかれない数字です。それに対して、1億円を超える金額は、妥当なのでしょうか。お正月の御祝儀相場なのでしょうが、寿司が好物の私にとっては、1の寿司にしてしまい、箸がつけられなくなってしまいそうです。落札した寿司屋では、通常価格で大盤振る舞いをしたそうですが、記に残る味だったことでしょう。

 昨年3億円を超えて落札されたマグロを見て、ある水産関係者は「これが3憶かあ。でも明日なら同じものが400万円で買えるよ」と言っていました。競りとはそういうものなのでしょう。ものはひとつしかないのに、欲しい人が何人もいて、ジャンケンというわけにはいかない場合は、お金の勝負になります。欲しいものがあと少しで手が届くとなれば、更に物欲が増します。隣の人が1万円出すなら、私は2万円、それなら3万円という風に、天井知らずになっていきます。しかし、幸か不幸か人間の欲望にも限界はあります。この度はそれが、2億円を超えないところで気付いたというところでしょうか。

 誤解を恐れずに言えば、人間は欲がなければ生きていけません。多少の出世欲や名誉欲は生きる励みになるかもしれません。何より食欲がなくなったら、生きていけなくなります。ただ、食べ過ぎ飲み過ぎて、健康を害することもあります。幸せな生き方ができている人は、欲望のコントロールが上手なのでしょう。

 今年一年も、自分の心の中で、競りにかけなければならないことが、多々あるかもしれません。あれを食べたい、あそこに行きたい、そう思っても、ちょっと立ち止まってみましょう。3憶円のマグロが明日は400万円になることもあるのです。欲の限界を知って、競りから降りることも、人生の大事なセオリーなのです。

 ここでお知らせいたします。12月のカンボジアエコー募金は、138回×3円で414円でした。ありがとうございました。
 それでは又、1月21日よりお耳にかかりましょう。

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