テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第1153話】「ラッキーマウス」 2020(令和2)年1月1日~10日

 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1153話です。

 あけましておめでとうございます。子年のネズミは十二支の始まりの干支ですので、特に始まりの始まりということを意識して、新年を迎えた方も多いのではないでしょうか。

 さて、世界で最も有名なネズミといえば、ミッキーマウスでしょう。今から92年前の1928年に誕生しています。生みの親はアメリカのウォルト・ディズニーです。最初ディズニーは、「しあわせのウサギのオズワルド」というアニメーションをヒットさせます。しかし、配給業者にオズワルドの版権を奪われてしまい、有能なスタッフも大量に引き抜かれるというどん底を味わいます。

 何とか新たなキャラクターを生み出そうと思案していたある日、昔のオフィスに頻繁に出没していたネズミが頭に浮かびました。「これだ!」と思い至り、早速可愛らしいネズミを誕生させて、「ミッキーマウス」と名付けました。

 ディズニーは子どものころから、絵を描くのが好きで、動物に対しても人一倍愛情をもって接してきたようです。何より、何度も逆境に陥りながらも、アニメーションに対する夢と情熱があってこそ、立ち上がって、成功を収めたのでしょう。それにしても、ネズミです。「鼠は大黒天の使い」という諺があります。大黒天は福の神ですから、鼠は福をもたらすということです。

 そこで、私も鼠を思い出しました。あの東日本大震災の時です。瓦礫が散乱してこの世のものとは思えない故郷の光景でした。そんな中で元気だったのは鼠です。今まで棲み家にしていた家が流されて、表に出るようになったのでしょうか。瓦礫に囲まれた環境が、鼠の繁殖に適していたのかもしれません。大小さまざまな鼠に遭遇する度、人間様がこんなに困っているときに、鼠は我が世の春を謳歌しているのかと、恨めしくなりました。

 あれから9年の歳月が流れようとしています。もはや頻繁に、鼠の姿を見かけることはなくなりました。変わって、故郷もかなり復興が進みました。大津波で流されたもう一つの住職地徳泉寺も、全国47すべての都道府県の人から寄せられた「はがき一文字写経」の功徳により、再建する事が出来ました。みなさまの復興に対する夢と情熱のおかげでもあります。3月11日には落慶法要を営む運びとなっています。

 瓦礫を棲み家としていた鼠が、ミッキーマウスのような存在だったとまでは言いません。しかし、今となっては、あの鼠たちの生命力が、復興へのスタートになったような気はします。鼠は復興という福をもたらしてくれたのでしょうか。そして、これからこそ、故郷の新しいスタートにして、幸せを呼び込みなさいと、今年のネズミは諭しているかもしれません。今年一年、たくさんのラッキーマウスに出会えますようお念じ申し上げます。

 それでは又、1月11日よりお耳にかかりましょう。

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