テレホン法話
~3分間心のティータイム~
【第795話】「3001回目のお辞儀」 2010(平成22)年1月21日-31日
お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第795話です。
外国人が日本人を見て不思議に思う光景の一つは、電話をかけながら、見えない相手に対してお辞儀をしている姿だそうです。電話でのお辞儀はともかく、挨拶でのお辞儀は、日本人にとっては、自然な振る舞いです。
自慢ではありませんが、今年になって私は毎日お辞儀のしどおしです。正月4日から年始回りで900軒以上の檀家さんを訪れました。その都度、挨拶を交わします。当然お辞儀をすることになりますが、1回だけということはありません。始めと終りに1回づつ、挨拶の途中でも1、2回することもありますから、1軒当たり3、4回のお辞儀になります。少なく数えても、これまで3000回はお辞儀をしているでしょう。
さて、みなさん覚えていらっしゃいますか。昨年11月アメリカのオバマ大統領が来日した時のことです。天皇、皇后両陛下と面会するために、皇居を訪れました。車から降りてすぐに、玄関で両陛下に歩み寄り、握手しながら深く頭を下げました。互いににこやかな表情でした。しかし、この光景がアメリカでは、波紋を呼びました。「主権国家のリーダーがなぜ他国の指導者に頭を下げるのか」というわけです。
オバマ大統領は、前もって日本の習慣について調べ、初めて会う陛下に敬意を示されたのでしょう。ですから、日本では「非常に礼儀正しい」と高く評価されました。一方、お辞儀の習慣がないアメリカでは、深く頭を下げた姿は、謝罪でもしているかのようだという非難の声まで上がりました。習慣の違いを理解することは簡単ではありません。それはひとまず置くとして、お辞儀の「辞儀」とは「遠慮する」という意味があります。相手を立て、自分の都合は控えるということでしょう。決して諂(へつら)ったり卑下しているわけではありません。
自分をまっさらにして、どんな相手に対しても、どんな状況にあっても、まごころ込めて頭を下げ挨拶をする。それがほんとうのお辞儀です。しかし私のことでいえば、何千回も繰り返していると、百回に一回位は、心乱れたお辞儀をすることがあります。修行の未熟さを思い知らされます。こちらは何百回目かのお辞儀であっても、相手にとっては初めてのお辞儀であることを忘れているのです。というわけで、今3001回目のお辞儀をしなければなりません。これは年始回りで未熟なお辞儀をしたことへお詫びの意味です。
それでは又、2月1日よりお耳にかかりましょう。
最近の法話
【第1352話】
「陰を忘れず」
2025(令和7)年7月11日~20日

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1352話です。 7月7日七夕の日、猛暑日が今年最多の210地点になりました。岐阜県多治見市では38.8度、北海道大樹町(たいきちょう)でも36.3度という体温よりも高いのですからから驚きです。 私が初めて体温以上の気温を体験したのは、今から33年前カンボジアを訪れた時です。カンボジアは内戦がようやく収まりかけていました。その当... [続きを読む]
【第1351話】
「明月院ブルー」
2025(令和7)年7月1日~10日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1351話です。 「紫陽花や きのふの誠 けふの嘘」正岡子規の句です。紫陽花の色の変化を、人の心の変わりようや迷いに喩えているのでしょうか。紫陽花の季節、アジサイ寺・鎌倉の明月院を拝観する機会がありました。 山門に至る緩やかな石段の両脇に咲く夥しい紫陽花に迎えられました。境内も紫陽花の海という... [続きを読む]
【第1350話】
「欲と水」
2025(令和7)年6月20日~30日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1350話です。 46億年前、地球ができたころ、まだ海はありません。3億年ほど経って、地球の表面が冷めると雨が降り始めました。何と千年間も降り続けたそうです。現在のような海になるまでには、更に7億年を要します。こうして36億年前に生命の起源が海に生じたと考えられます。ヒトの出現はずっと後のことで... [続きを読む]
テレホン法話
~3分間心のティータイム~
- 2025年
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2024年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2023年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2022年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2021年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2020年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2019年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2018年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2017年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2016年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2015年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2014年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2013年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2012年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2011年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2010年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2009年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2008年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月