テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第774話】「絶品のおかず」 2009(平成21)年6月21日-30日

 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第774話です。CALTQFU3.jpgのサムネール画像のサムネール画像
 「夕食のおかずを一品追加しよう」と思うのはどんな時でしょうか。何かうれしいことがあった時、家族のお祝いごと、自分へのごほうびとして等があるかもしれません。先日、徳本寺で行われた「第3回テレホン法話ライブ」で、参加者にアンケートのご協力をいただきました。その中に「すごく心地のいい休日でした。夕食のおかずを一品追加しようと思いました」と感想を書いて下さった女性の方がいらっしゃいました。
 100名を超える方にお集まりいただき、アンケートも7割以上の方が回答して下さいました。その回答を読む限りにおいては、みなさんから好評をいただいたようです。その極めつけとして「夕食のおかずの追加」をしたいという、具体的な感動の表現に、主催者としても感動致しました。更にもう一つ感動させられるコメントがありました。
 「テレホン法話ライブ」の開演前に諸注意・お願いをするにあたり、司会の方に次のようにアナウンスをしていただいております。「最後に重要なお願いです。お帰りの際には、忘れずに携帯電話の電源をお入れ下さいますようお願い申し上げます」という具合です。たいていの方は、キョトンとして聴いていたかもしれませんが、このことを心に留めて下さった方がいらっしゃいました。
 その女性は次のような感想を寄せて下さいました。「通常どんな会合においても開演前には、携帯電話の電源を切るかマナーモードにとお願いされます。当然マナーとして守らなければならないことを、押し付けられているように思っていましたが、この一言のアナウンスで、徳本寺のご住職様の『会場の方はマナーを守って下さっている』と信頼された上での、『お帰りの際には、忘れずに携帯電話の電源をお入れ下さい』とお願いされている。ご住職様の人間性が伝わってきました。久々に心に響いた言葉でした」
 そこまで深読みをして下さるとは、恐縮致しました。どんなに良いことでも、押し付けられては、心からその気になることが出来ないし、信頼し合うことによりその場の雰囲気を和やかににすることを改めて感じました。「今日、こんなお話を聞いて感動したのよ。あなたも感動しなさい」といわれても、なかなかその気にはなりにくいものです。それより、黙っていてもおかずを一品追加すれば、間をおかず、すぐに、今日は何か良いことがあったのかなと察してくれるはずです。それから、感動した話をすれば、それは「絶品のおかず」になることでしょう。
それでは又、7月1日よりお耳にかかりましょう。

最近の法話

【第1337話】
「涅槃寂聴」
2025(令和7)年2月11日~20日

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1337話です。 「言っていることは聞こえていて、うなずくが、しゃべることはほとんどできない。目を開けるのも辛そうだった」。2021年11月9日に99歳で亡くなられた作家で僧侶の瀬戸内寂聴さんの病床での様子。最期まで看取った秘書の瀬尾まなほさんが伝えたものです。 死の1カ月ほど前に、一時退院して新聞連載の随筆を書き上げたのが最後... [続きを読む]

【第1336話】
「直心の交わり」
2025(令和7)年2月1日~10日

住職が語る法話を聴くことができます 元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1336話です。 「一河(いちが)の流れ掬(く)むにさえ 深き恵(めぐみ)と知るものを 真心こもる熱き茶に 疲れを癒す有難さ」という御詠歌『報謝御和讃』が此君亭に流れました。茶室で聴く御詠歌は初めてです。御詠歌が茶室に染み入るのか、茶室が御詠歌を唱える人々を包み込むのか、得も言われぬ雰囲気を醸し出... [続きを読む]

【第1335話】
「昭和100年に想う」
2025(令和7)年1月21日~31日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1335話です。 今年2025年は昭和の年号で言い換えると「昭和100年」になります。私は昭和25年生まれで、西暦では1950年です。区切りのいい数字の年に生まれました。私にはもうひとつ区切りのいい年があります。それは昭和50年です。この年に大本山總持寺に上山して、僧侶としての修行の第一歩を踏み... [続きを読む]