テレホン法話
~3分間心のティータイム~
【第1297話】「一龍の人」 2024(令和6)年1月1日~10日
住職が語る法話を聴くことができます

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1297話です。
あけましておめでとうございます。今年の干支「辰」という漢字は、「シン」とも読み、手偏が付けば、「振動」するの「振」となり、「振るう」と読めます。また辰の上に「曲がる」という字を書けば、農業の「農」という字になります。その字の成り立ちには、貝殻で土を柔らかにするという意味があります。鍬を振るい土を柔らかく耕すのは、農業の基本ということが納得できます。
さて、辰年は動物で言えば龍です。十二支の中で唯一架空の動物です。しかし、インドや中国・日本では縁起のいい動物として珍重されています。仏法の守護神でもあります。特に私たちの修行道場では、修行僧を敬って「龍象」と呼んでいます。ドラゴンとエレファントが合体して、体は象ですが首から上は龍という最高の姿の象徴です。
禅語に「三球浪高こうして魚龍(うお りゅう)と化(か)す」というのがあります。中国の黄河の治水工事を命じられたが失敗して殺された父の遺志を継いで、その息子が難工事を成功させました。その工事というのは、黄河の上流の竜門山を三段に切り崩して水を通したというものです。三段の滝は「竜門の三級」と言われ、水の勢いは何ものも寄せつけないほどすさまじいものです。そこに多くの魚が集まり、滝を登ろうとします。見事に登り終えると頭に角が生え、龍の姿になり、雲を呼び雨を降らせ天に昇ると伝えられています。ご存じ立身出世の関門としての登竜門のいわれとなっています。勿論、父の遺志を継いで難工事を果たした息子の精進を讃え、努力をすれば立派な人間になれるということも意味しています。
登竜門を突破した人は、まさに一流の人でしょう。昨年で言えば、大谷翔平選手や藤井聡太八冠の活躍は一流中の一流です。彼らの「竜門の三級」は別格の規模であったはずです。そこをいとも簡単に越えて、「サンキュウ」と微笑んでいるように見えますが、陰ながらどれだけの努力精進があったのかと思わざるを得ません。
翻って私はと言えば、「竜門の三級」越えはもはや無理です。それでもせっかくの辰年ですから、怠ることなく精進して龍になろうという気概で、「イチリュウ」の人を目指します。一つの龍という意味での「一龍」です。つまり仏法の守護神の龍を意識して、仏の教えの一端を、このテレホン法話を通じて伝え続けましょう。龍は龍神でもあり、雨を降らし大地を潤し、恵みをもたらします。その大地に鍬を振るって土を耕すように、このテレホン法話が、みなさまの心の耕しになれば幸いです。辰年に因み、一龍という一つの龍の法話が、世の中の役に立つように精進してまいります。今年もよろしくお聴きください。
それでは又、1月11日よりお耳にかかりましょう。
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