テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第1283話】「目連の心」 2023(令和5)年8月11日~20日

住職が語る法話を聴くことができます



 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1283話です。

 頭に血がのぼった状態を「頭に来る」と言います。逆立ちをしてみれば、頭に血がのぼっているというか、血が下がって頭に集まっていることを実感できます。それは決して楽な姿勢ではありません。

 逆さに吊るされた苦しみは、インドの古い言葉の「ウランバーナ」に当たります。お盆は正式には「盂蘭盆」といい、ウランバーナが起源だという説もあります。釈迦の十大弟子で神通第一と言われた目連は、亡くなった母を神通力で探したところ、餓鬼道に堕ちて、逆さ吊りの苦しみに遭っていました。その訳をお釈迦さまに尋ねると「お前の母は、我が子にはとてもいい母親だった。しかし、他人には強欲で意地悪だったからだよ」「救い出す方法はありませんか」「ひとつだけある。それは山に籠って厳しい修行を終えた修行僧が、7月15日に町に下りてくる。彼らに衣や食事を提供して、お経を挙げていただきなさい」。目連がその通り実行すると、母親は餓鬼道から抜け出し、逆さ吊りの苦しみから逃れることができました。

 以来、目連は母と同じように苦しみにあえぐ人々を救うべく、毎年7月15日に修行僧を招いて供養の席を設けました。これがお盆の始まりであり、和尚さんを呼んでご法事を営む風習にもなったといわれます。7月15日が本来のお盆で、地方では月遅れの8月に行われます。

 さて、この世にも逆さまな心で、頭に血がのぼった母親はいます。6月神戸市の草むらでスーツケースに入った6歳の男の子が遺体で発見されました。背中を踏みつけたり、鉄パイプで殴って殺害した疑いで、母親とその弟や妹の合わせて4人が逮捕されました。また7月には茨城県水戸市で、8歳の息子と5歳の娘を殺害した容疑で、母親が逮捕されました。更に大阪府大東市の母親は、9歳の娘に食事を与えず、低血糖症で入院させ、共済金をだまし取ったとして逮捕されました。

 犠牲になった子どもたちは、母親が頭に来るような悪いことをしたのでしょうか。すべては母親の身勝手と欲に溺れての悪業です。この世の母親の仕業とは思えません。子どもたちこそが、地獄のような苦しみを味わったのです。目連の母親の我が子への溺愛は、確かに逆さまな心です。しかし、身勝手な母親に言います。「せめて目連の母親並みに、我が子だけでもしっかり面倒を見なさい」と。

 逆立ちをして食べたり飲んだりはできません。そのように、強欲な餓鬼は喉が針のように細くなって、まともに食べられません。お盆には、キュウリとナスを賽の目に刻んで洗米と混ぜて水に浸した「水の子」というお供えをします。餓鬼が食べやすいようにという配慮です。お盆に帰ってくるご先祖の供養と併せて、苦しみにあえぐ人をも救いたいという目連の心の顕れです。お盆はお供えを整えながら、私たちも心が逆さまになっていないか省みる機会でもあります。

 ここでお知らせいたします。7月のカンボジアエコー募金は、1,303回×3円で3,909円でした。ありがとうございました。
 それでは又、8月21日よりお耳にかかりましょう。

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