テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第1256話】「テレホン法話で六根清浄」 2022(令和4)年11月11日~20日


 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1256話です。

 「お寺のイメージが私の中ではくつがえされました。参加出来たことに感謝致します」これは先月徳本寺で行われた第16回テレホン法話ライブのアンケートに寄せられたある女性の声です。因みにその方は、友人に誘われてお出でになり、これまでテレホン法話を聴いたことはなかったようです。

 観光寺院は別として、お寺に対する一般的イメージは、抹香臭い、近寄りがたい、暗くて閉鎖的など、あまり良くありません。死んでからお世話になるところと思われがちですが、生きているときにこそお寺に親しんでいただきたいのです。

 いつでも、だれでも、どこからでも仏の教えを聴いていただけるようにと、35年前からこのテレホン法話を開設しています。それでもある種のもどかしさがありました。ほんとうに伝わっているのだろうか。仏教語は聞くだけでは分かりにくいこともあります。そこでテレホン法話ライブを始めたわけです。本堂でテレホン法話をじかに語りかけるものす。内容に因んだ写真や言葉をスクリーンに映します。時には御詠歌で法話の内容が深まります。何より法話にふさわしいピアノ演奏で、臨場感あふれます。また3分間心のティータイムと謳っていますので、お茶の接待もあり、今回は途中でバイオリン演奏も楽しんでいただきました。

 涙を誘う話や、笑ったりなるほどと頷ける話もありました。迫力あるバイオリン演奏で、元気をもらった人も多かったでしょう。そう感じられるのは、眼・耳・鼻・舌・身・意という「六根」つまり、め・みみ・はな・した・からだ・こころのおかげです。その知覚器官を柔軟にしておけば、仏の教えも体全体に染み込みやすくなります。知覚の構造はだれでも共通ですが、どのように判断するかは人それぞれです。芭蕉の耳に届いた蝉は俳句にも残り誇らしいでしょうが、私が聞いた蝉は日記にも残らず気の毒です。まさに六根清浄なれば、何を見ても聴いても的確な判断ができます。

 テレホン法話ライブの最後の挨拶で、仙台市の髙橋さんという92歳の女性からのはがきを紹介しました。「今朝も食事の後片付けが終わり、一息入れて先ず、テレホン法話を携帯から聞いて、今日のことが始まります。日中もホッと一息、淋しさにやり切れなくなれば、救いの神にすがるように、携帯を耳に当てて法話を聞きます。私のお守りです。ただ感謝です」。テレホン法話がみなさまの日常の一コマとなり、柔軟にして清浄な六根を養えましたら幸いです。

 私のお寺らしいイメージは、六根を清浄に保つお手伝いをすることです。たまたまそれが、テレホン法話であり、テレホン法話ライブなのです。お電話下さる方がいるからこそ、続けてこられました。法話をお聴きのみなさまこそが、お寺や私にとっての守り人です。

 ここでお知らせいたします。10月のカンボジアエコー募金は、2,020回×3円で6,060円でした。ありがとうございました。
 それでは又、11月21日よりお耳にかかりましょう。

最近の法話

【第1351話】
「明月院ブルー」
2025(令和7)年7月1日~10日

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1351話です。 「紫陽花や きのふの誠 けふの嘘」正岡子規の句です。紫陽花の色の変化を、人の心の変わりようや迷いに喩えているのでしょうか。紫陽花の季節、アジサイ寺・鎌倉の明月院を拝観する機会がありました。 山門に至る緩やかな石段の両脇に咲く夥しい紫陽花に迎えられました。境内も紫陽花の海という感じです。「明月院ブルー」と称される... [続きを読む]

【第1350話】
「欲と水」
2025(令和7)年6月20日~30日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1350話です。 46億年前、地球ができたころ、まだ海はありません。3億年ほど経って、地球の表面が冷めると雨が降り始めました。何と千年間も降り続けたそうです。現在のような海になるまでには、更に7億年を要します。こうして36億年前に生命の起源が海に生じたと考えられます。ヒトの出現はずっと後のことで... [続きを読む]

【第1349話】
「背番号3の背中」
2025(令和7)年6月11日~20日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1349話です。 好きな数字はと訊かれたら、迷いなく「3」と答えます。勿論長嶋茂雄さんの背番号だからです。小学生の頃その背中に憧れました。ユニフォームなど買ってはもらえないので、「3」という背番号を手作りした覚えがあります。 当時まだテレビはなく、たまにラジオで野球中継を聴くぐらいでした。そし... [続きを読む]