テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第1227話】「千里同風」 2022(令和4)年1月21日~31日

住職が語る法話を聴くことができます



 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1227話です。

 「震災は遠くになりても思うもの」という川柳が新聞に載っていました。「27年」という題がついて、阪神・淡路大震災から27年経ったことを詠んだものです。そして、その前日1月16日午前零時過ぎに、太平洋側全域を中心に津波注意報が出されました。真夜中のことで、どなたも驚かれたことでしょう。15日に発生したトンガ沖の海底火山の大噴火によるものです。「震災は遠くにありても不安なり」です。

 思えば1年前の2月13日夜11時7分に発生した地震は、東日本大震災の余震というのですから、驚きました。間もなく大震災から10年の節目を迎えるというタイミングで、余震とはいえ震度6強もありました。被害地域はかなり限られてましたが、たまたま徳本寺周辺で被害甚大でした。人的被害はなかったものの、お墓や家屋の被害は、10年前よりひどいところもありました。「忘れるなと言うかのようにまた地震」です。

 トンガと日本は約8千キロ離れています。しかし、トンガ周辺で沈み込むプレートは、東日本沖と同じ太平洋プレートで、成り立ちがよく似ているそうです。トンガ火山の研究者によれば、900年から1000年に一度のペースで大規模な噴火が繰り返されているといいます。前回は西暦1100年ごろだったといいますから、まさに千年に一度の大噴火といえます。東日本大震災も千年に一度といわれました。発生から10年経ってもその勢いは衰えず、余震をもたらしたのですから、地球に蓄えられているエネルギーは想像を絶するものがあります。

 今年は寅年ですが、虎の勢いを表す諺に「虎は千里行って千里帰る」というのがあります。一日千里を往復できる勢いと行動力のたとえです。千里往復は約8千キロですから、トンガまでの距離です。寅年の私ですが、今すぐトンガまで行き、支援の手を差し伸べることはできません。同じ太平洋プレート上にある者として、運命共同体の思いを込めて、被災者の無事と今後の復興を願うばかりです。

 千里と言えば、「千里同風」という言葉があります。遠く離れた場所でも同じ風が吹いていることを指し、一般的には千里四方がひとつにまとまって、平和であるとの意味です。少し仏教的見地から深読みをすれば、いつどこへ行ってもどんな状況でも、思う心は変わらないということです。時間空間を超えて、心を通じさせるということでもあります。日本なら何とかするが、トンガのことは知らないということではいけないわけです。また、千年経とうが10年過ぎようが、自然の営みに対しては、謙虚に恐れることを忘れてはいけないということでしょう。

 コロナといい、自然災害といい、極く限られたところではなく、地球規模で全人類が我がこととして受け止めていく必要があります。ほんとうの意味での千里同風が一日も早く、地球上に吹き渡るよう祈りましょう。

 それでは又、2月1日よりお耳にかかりましょう。

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