テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第1191話】「ハッピータイムス」 2021(令和3)年1月21日~31日


 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1191話です。

 「幸せだから笑うんじゃない 笑うから幸せになるんだ」といった人がいます。その理屈をあてはめれば、幸せだから「ハッピータイムス」という新聞ができるのではなく、「ハッピータイムス」という新聞を発行しているから幸せになるのだといえそうな家族がいます。

 知り合いのK子さんは、今から39年前長男が幼稚園を卒業した年に、旦那さんの勧めで家族新聞を作り始めました。その名も「ハッピータイムス」です。折に触れ発行される新聞を毎回届けてくださいました。最初はB4版一枚の両面刷りで手書きのものでした。途中からA4版4ページを、パソコンでの編集という進化も見られました。

 内容は当然子どもさんの成長に関わることが中心でした。当時まだ字が書けなくて、絵を描いて新聞に載せていた子どもさんも、今や母となり自分の子どもについて記事を書くまでになっています。ともかく写真が豊富で、よくぞこんなに記録しているものだと感心していました。

 白黒の紙面ではありますが、幸せ家族を極彩色の絵に描いて拡大コピーしたかのような、うらやましさ120パーセントの記事で溢れていました。そのころGoToトラベルもないのに、至る所に出かけて見たり聞いたり食べたりという見聞録は、まさにハッピータイムスです。その新聞に載せようと思えば、幸せな行いを次々と実行しようと心がけることでしょう。新聞が幸せを呼び込む所以です。

 そしてこの正月に年賀状代わりの「ハッピータイムス」が届きました。最後のページを見てびっくりです。「ハッピータイムス100号です!」という大きな見出し。とうとうやったねと心から拍手を送りました。しかし、次のような記事でまとめられていました。「私も歳を重ね68歳になりました。今まで思い付きでいろいろなことを始めてきましたが、ものには『終わりがあっていい』と思うようになりました。100号でピリオドと決めました」。

 丸38年間かけて発行し続けてきて100号という大台に乗せました。いくら幸せ家族とはいえ、笑いもあれば、涙もあったことでしょう。それらを一つひとつ丁寧に掬い上げて紙面にまとめるのは、並大抵のことではありません。しかし、そんな姿は微塵も見せず、「節目の100号でバイバイ!」と言って恬淡(てんたん)としています。

 道元禅師の言葉に「諸縁を放捨して 万事を休息す」というのがあります。すべての縁から解き放たれて、心緩やかにして、万事のいとなみを休めてみるというような意味です。K子さんの「ものには『終わりがあっていい』」との思いは、自分の思うことはやり切ったという満足感とそれに引きずられることのないさわやかさを感じます。これからは毎日が終わりの一日という覚悟をもって、軽やかな足どりでハッピータイムを刻んでいくことでしょう。

 それでは又、2月1日よりお耳にかかりましょう。

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