テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第1179話】「波羅蜜生活習慣」 2020(令和2)年9月21日~30日

 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1179話です。

 「人間の70歳は車で言えば中古車です。どこか故障してあたりまえです。車ならエンジンやブレーキが具合悪ければ、修理や部品交換はできますが、人間の場合、部品交換はたいへんです。だから日頃の生活習慣が大事なんです。生活習慣を疎かにして、がん検診を受けても本末転倒です」

 先日、町の総合健診でお医者さんからそう言われました。そして私の生活習慣の問診票をみて、「中古車としては立派な方です」と太鼓判を押して下さいました。いくら褒められても中古車という代名詞はついてまわるのかと思えば、複雑な心境です。せめてポンコツ車と言われないように、これからも精進しましょう。

 さてお彼岸です。私たちが今生きている悩みや迷い多きこちら側の岸―此岸(しがん)―という世界から、貪り囚われのない悟りの世界である彼(か)の岸―彼岸―へ渡りましょうと発願する時です。彼岸に辿り着く手立てとして、6つの修行徳目があります。これを六波羅蜜(ろくはらみつ)と言います。波羅蜜とは古代インド語のパーラミターを音訳したもので、「修行の完成とか、彼岸に到る」という意味があります。

 その6つとは、①布施「見返りを求めず施す」②持戒「決まりを守り節度を保つ」③忍辱(にんにく)「苦しみにくじけず慈悲を示す」④精進「努力を惜しまず続ける」⑤禅定「身心の落ち着きと反省を心がける」⑥智慧「正しく物事を判断する」ということです。やや堅苦しいと感じた方は、普段の生活習慣をちょっと顧みるチャンスと思ってください。

 生まれながらに仏の心つまり六波羅蜜を具えているはずの私たちですが、娑婆の空気に馴染み過ぎて、時として仏の道から外れることがあります。困っている人を見て見ぬふりをしたり、ルールを破ったり、怒ったり愚痴を言ったりすることです。それらをほったらかしにしておくと、それが当たり前になり、生活習慣として定着してしまいます。せめて彼岸の7日間のうちに、仏の教えを思い起こし、先祖の恩に感謝して、わが六波羅蜜の点検整備をして下さいということです。

 「メメント モリ」というラテン語があります。「死を思え」という意味です。つまり、死ぬというその日を忘れず今を生きるということです。逆を言えば、どんなことをしても死なないと思えば、緊張感もなく、暴飲暴食は日常茶飯事、時には悪事を働くこともあるかもしれません。まさにブレーキの壊れた中古車以下とみなされ、廃車にされてしまうのがオチです。そうなったら廃車復活は望めません。「メメント モリ」を心のブレーキとして、くれぐれも波羅蜜生活習慣を心がけましょう。「波羅蜜」と言っても、お腹をいっぱい満たして肥満になることではありませんよ。肥満ではなく彼岸を目指しましょう。

 それでは又、10月1日よりお耳にかかりましょう。

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