テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第1169話】「大衆一如」 2020(令和2)年6月11日~20日

 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1169話です。

 訳の分からないことの象徴にも譬えられるお経ですが、無量の功徳があるともいわれます。写してよし、読んでよし、称えてよしがお経です。

 修行道場では大勢でお経を称えます。そして、お経は耳で称えよと教えられます。勿論経文は目で追わなければなりませんし、声帯を使わなければ、音は出ません。ひとりなら自分の都合でどうにでもなります。しかし、複数の人数で称える場合は、声量・音程・速度などをまわりに合わせる配慮が必要です。どんな功徳のあるお経でも、みんなてんでんばらばらに称えていたのでは、それこそ興(経)醒めです。最大限耳を駆使して、自分のお経とみんなのお経がずれないように気をつけます。何十人で称えてもひとつのお経に聞えるのが理想です。修行の基本は「大衆一如(だいしゅいちにょ)」つまり、大勢の修行僧がいたとしても、みんな平等にひとつことを行う大切さが求められます。

 さて、新型コロナウイルス感染防止に伴い、自分は感染もしていないのに、行動が制限される辛さがあります。スポーツ・文化活動の自粛も、その通りです。取り分け、高校野球をはじめとする人生の中でたった一度の機会を奪われた悔しさは、察するに余りあります。野球や音楽は生きていればいつでもできるでしょう。しかし、学校時代の限られた時間の中で行えるのは、たった今しかないのです。そんなに腐らずに、今までの練習はこれからの人生に役に立つとは言うものの、これ以上腐る条件が整うことは、人生にそうありません。大いに腐って立派な肥やしを培ってくださいとしか言いようがありません。ただ腐り方の工夫も必要です。

 合唱コンクールも軒並み中止になっています。そんな中で東京混声合唱団音楽監督の山田和樹さんは、1人でも合唱は続けられると言います。コンクールはうまいか下手かの尺度でしか見られないが、本来音楽とはそういうものではないということに気付くきっかけが今だというのです。そして、ハミングを勧めます。口をほとんど閉じたまま小さい声で歌うため、飛沫のリスクが極めて小さく、一緒に歌っている人たちの声を想像したり、音程に通常より心を研ぎ澄ませることができるからだそうです。

 耳で誦むお経とハミングの一人合唱、どちらも相手を思いやる究極の技と言えます。大衆一如の思いがあればこその技です。大衆一如は昨日今日できる技ではありません。その人がどれだけ醸成した肥やしを身に付けているかによります。修行僧とコロナの災禍は比較にはならず、何の慰めにもならないかもしれませんが、ある人が言いました。「ただの慰めの言葉より、お経がいいときもある」。毎朝コロナ終息を願ってお経を称えていますが、みなさん聞えていますか。

 ここでお知らせいたします。5月のカンボジアエコー募金は、229回×3円で987円でした。ありがとうございました。
 
 それでは又、6月21日よりお耳にかかりましょう。

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