テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第1130話】「不便な人間」 2019(令和元)年5月11日~20日

住職が語る法話を聴くことができます


 
 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1130話です。

 「休めない 人が支える 10連休」と新聞の川柳欄にありました。日本のカレンダ―史上初めてかもしれない日本全国10連休といっても、それを丸々享受できた人は、どれだけいたのでしょう。休日を休日足らしめるためには、休む人以上に働く人がいなければ成り立ちません。

 10連休どころではない年中無休で24時間営業していると言えば、コンビニエンスストアです。名前の通り確かに便利です。全国で郵便局の倍以上の5万5千店あるそうです。真夜中であれ早朝であれ、ちょっと出かけて行って、たいていの用は済ませることができます。勿論無人営業ではないので、常に誰かは店にいるわけです。

 コンビニ大手のセブンーイレブンは、朝7時から夜11時の営業で始めたのでその名前になりました。44年前に24時間営業を始め、その後他社も含めて全国に広がりました。今私たちはどっぷりとその便利さに浸っています。しかし、それは自然の営みとは言い難いところがあります。ここにきて、24時間も店を開けている必要があるのかという意見が出てきました。直接的原因はアルバイトを集めにくくなった上、時給も高くなりコンビニの経営が苦しくなってきたからです。人手不足を補うため、店主自らが長時間店に立っても、休みなしでは限界があります。

 コンビニの最大の目玉は24時間年中無休ということです。実は世論調査によれば、コンビニ24時間営業は「不要」というのが62%で、「必要」の29%を大きく上回っています。ただし、若年層では「必要」が多数だったのに対して、40代以上は「必要でない」が多くを占めています。生まれた時から、24時間営業に接していれば、それが自然かもしれません。一方、成長過程で24時間に出会った年代は、それがなくても自然の姿であり、昼夜のけじめの大切さを知っています。

 現代のわが国において、欠けているものは、計画性と緊張感です。コンビニがあると思えば、計画的に買い物はしなくなるし、調味料がなくなったらどうしようなどという緊張感も生まれないでしょう。なんでも当たり前と思っていると、想像力が衰えてきます。飛躍して聞えるかもしれませんが、想像力の欠如が子どもたちのいじめの遠因になっているような気がします。どこにもある、いつも開いてる、何でもある、そんな環境にいれば、少し遠い、ちょっと相手にされない、わずかに足りないという、些細なことにも我慢できない不便な人間になっても不思議はありません。便利なコンビニで一番の売れ筋は、「不便な人間」という生き物かもしれません。

 ここでお知らせ致します。4月のカンボジア・エコー募金は、165回×3円で495円でした。ありがとうございました。

 それでは又、5月21日よりお耳にかかりましょう。

最近の法話

【1307話】
「揺らがず大遠忌」
2024(令和6)年4月11日~20日

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1307話です。 たとえばですが、「正月の元旦に地震の避難訓練をします」と言われて、参加しますか?正月早々とんでもないと、誰でも思います。しかし無常なる自然は、正月とか人間の都合に忖度しません。能登半島では元旦にとんでもない地震が起きたのです。 実は能登半島は曹洞宗にとっては聖地です。曹洞宗には本山が2つあります。福井県の永平寺... [続きを読む]

【1306話】
「シッダールタ」
2024(令和6)年4月1日~10日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1306話です。 「文殊丸」「行生」という2人の名前で、どなたかわかりますか。ヒントはどちらも曹洞宗に関わる方です。文殊丸は大本山永平寺を開かれた道元禅師、行生は大本山總持寺を開かれた瑩山禅師の幼名です。昔は幼い時に仮に名付ける名前や元服以前の名前を持つことがあったようです。 さて、4月8日は... [続きを読む]

【1305話】
「雪の行脚」
2024(令和6)年3月21日~31日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1305話です。 わが山元町は「東北の湘南」などと呼ばれることがあります。宮城県の最南端で太平洋に面しています。温暖で大きな台風もほとんどありません。積雪は年数回程度で、いちごやりんごが名産です。しかし、町の東側約12キロはすべて沿岸部です。それが災いし、東日本大震災の大津波は町の40%を襲い、... [続きを読む]