テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第1116話】「平成最後の除夜」 2018(平成30)年12月21日~31日

住職が語る法話を聴くことができます


 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1116話です。

 この時期になって「平成最後の何々」という言い方が目に付くようになりました。これから平成最後の大晦日を迎え、平成最後のお正月を迎えるわけです。

 では、昭和最後の年の暮れに、このテレホン法話では何を語っていたのか振り返ってみましょう。それは昭和63年12月21日に発表した「宇宙カレンダー」という法話でした。宇宙の始まりを150億年前として、現在までの宇宙の歴史を1年のカレンダーで表せばという話です。

 宇宙の始まりは、当然1月1日。そして、人類の祖先が誕生したのが、500万年前とすれば、12月31日の午後9時頃に相当するというのです。それは人類が誕生して、まだ3時間しか経っていないことを意味します。更に今の私たちが生きている現在は、除夜の鐘1回分ほどのものでしょうか。

 奇しくもこの12月10日に、次のような宇宙の話題がありました。米航空宇宙局(NASA)は、41年前の1977年に打ち上げられた探査機ボイジャー2号が、木星や土星を観測して、太陽圏を脱出したと発表しました。太陽圏は、太陽から噴き出した粒子即ちソーラウインド(太陽風)で覆われた空間で、惑星や小惑星などを包んでいます。その太陽風が届かない「星間空間」(星の間の空間)に到達したというのです。

 現在ボイジャー2号は、地球から約180億キロ彼方にいます。そして、太陽圏は脱出しましたが、太陽系からはまだ飛び出していないのです。最終的には、星間空間を経て、無数の小さな天体が集まる「オールトの雲」を目指しています。そこまで300年かかります。更にオールトの雲を突き抜け、完全に太陽系の外に出るまでには、3万年の歳月を要します。

 宇宙の歴史、スケールの雄大さからすれば、人類あるいは我々一人ひとりの存在は、極々ささやかなものです。しかしその人類が作ったボイジャー2号は、平成の時代が始まる10年以上前から飛行して、その旅はまだまだ果てしなく続くのです。すこし誇らしい気がします。

 私たちの人生は、せいぜい100年くらいのものです。大宇宙から見れば、塵のようなものでしょう。だからでしょうか、私たちの心には塵のように煩悩が積もって、留まることを知りません。たとえば、某会長のように50億あっても、更に何十億も欲しいと言って、満足することがないように。

 大晦日には除夜の鐘を、煩悩の数といわれる108回撞きます。煩悩があるから苦しみが生まれ、四苦八苦します。4×9=36 8×9=72 合わせて108。数字の語呂合わせですが、まんざら嘘でもないでしょう。平成最後の除夜の鐘を聴いて、これまで心に積もった塵を、ゴーンと宇宙の果てに飛ばしましょう。そして煩悩もなく宇宙のように広い心を保つためにも、来年からは車に乗ってお寺に、日参しませんか。

 それでは又、来年1月1日よりお耳にかかりましょう。

最近の法話

【第1226話】
「師弟のナビゲーション」
2022(令和4)年1月11日~20日

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1226話です。 「お寺でーす」と元気のいい声が、檀家さんの玄関先に響きました。おそらく檀家さんは、「あれ、今年の年始廻りの和尚さんの声が、ちょっと違うな」と思ったことでしょう。実は昨年縁あって徳本寺に弟子を迎えました。仙台市出身の小林信眼さん27歳です。その彼と一緒に年始廻りして、正月のお札を檀家さんにお配りしたわけです。 信... [続きを読む]

【第1225話】
「虎が転じる福」
2022(令和4)年1月1日~10日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1225話です。 あけましておめでとうございます。今年は寅年ですが、「虎を野に放つ」という諺があります。猛威あるものを野放しにするということです。新型コロナが世界中に猛威を振るっている状況を思わずにはいられません。決して野放しではないでしょうが、対策がウイルスの勢いに追いついていません。丸2年も... [続きを読む]

【第1224話】
「聞声悟道」
2021(令和3)年12月21日~31日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1224話です。 作家の瀬戸内晴美さんは、51歳で出家して、寂聴という名前を授かりました。出家した者は、心乱さずして仏の声を聴くという「出離者は寂なるか、梵音(ぼんのん)を聴く」に由来しているそうです。惜しまれながら、11月9日99歳で亡くなられました。 その輝かしい生涯の中でも、一貫して反戦... [続きを読む]