テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第1105話】「ナイン」 2018(平成30)年9月1日-10日

住職が語る法話を聴くことができます


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 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1105話です。

 今から44年前の昭和49年、高校野球春の甲子園大会で、徳島県の山間にある県立池田高校が、初出場ながら決勝進出。惜しくも敗れて準優勝となったものの、たった11人の部員による活躍が話題になり、「さわやかイレブン」と称えられました。野球は1チーム9人で行うものです。甲子園では現在1チーム18人までベンチ入りできます。大抵は何十人もの部員の中から選ばれるわけです。11人だけで戦うことがいかにすごいことかがわかります。

 1チーム9人ということから、野球チームを何々ナインと呼ぶことがあります。今年の夏の甲子園大会で、まさにそのナインが旋風を巻き起こしました。秋田県立金足農業高校です。部員は9人だけではないのですが、とにかく県大会の予選から、甲子園での決勝戦までの11試合を、3年生の同じ9人のメンバーで戦い抜いたのです。9人は中学時代から秋田市やその近郊で軟式野球をしていた顔見知りでした。全員甲子園目指して、金足農の野球部に入部したのです。

 昨今の野球強豪高校は、他県からのいわゆる野球留学生を受け入れています。地元出身者が稀なチームさえあります。池田高校も金足農も公立高校ということもあり、その環境はいわゆる強豪高校とは、だいぶ異なっています。そんな中での活躍に、多くの人々は高校野球の原点を見る思いがして、応援も過熱していったのかもしれません。

 金足農も池田高校と同じように、決勝で敗れはしたものの、金足農のエース吉田投手は「みなさんの応援が自分たちの力以上のものを出させてくれた」と、お礼を述べています。草野球で遊んだ仲間と、そのまま甲子園で野球ができるなら、野球人にとってこれ以上の夢はないでしょう。野球を愛する全国の人が、ナインに夢を託しての応援だったのでしょう。

 さて、ナインの9は、日本語では苦しむの「苦」を連想し避けることもありますが、実は魅力ある数字です。1から9までの数の基になる基数の中で、一番大きい数です。中国では聖なる数として崇め、天子の御殿を九重と称しています。久しいの「久」にも通じます。仏教においても、数珠の基本の球は9個ですし、鐘を撞く回数も9が基本です。因みに1年12カ月×9は108となります。

 野球も9回まで戦うゲームです。金足農は準々決勝で、近江高校と対戦。1点を追う劣勢の9回裏、誰もが驚く2点スクイズで、逆転サヨナラ勝ち。この奇跡のような結果をもたらしたのも9という数かもしれません。この逆転劇が生まれる直前に、金足農ナインも授業で飼育している豚が、9匹の子豚を生んでいるのです。何という巡り合わせでしょう。

 この子豚たちが口を利けたら言うかもしれません。「準優勝だからって、カナアシまないで(悲しまないで)、校歌を歌うときのように、堂々と胸張ってくナインください)」

 それでは又、9月11日よりお耳にかかりましょう。

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