テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第1103話】「息つき竹」 2018(平成30)年8月11日-20日

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 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1103話です。

 その昔、徳本寺のあたりでは「六尺」と呼ばれる作業がありました。「六尺」は約180cmの長さを言いますが、お墓の穴掘りの作業或いはその役目を担う人を指しました。昭和50年頃までは土葬でしたので、坐った状態の遺体を棺に納め、いわゆる座棺で埋葬したのです。そのためにお墓の穴を、6尺の深さまで掘りました。「六尺」に当たった人は、数人で午前中かけてそれだけの穴を掘ったようです。

 座棺が墓に安置されると、近親者が少しずつ土をかけ埋めていきます。そして、土まんじゅうの形の墓を作ります。最後にその土まんじゅうの中央に長い竹を立てました。それは「息つき竹」と呼ばれるものです。お墓参りの度にその竹で棺にトントンと触れるのです。亡くなった人が土の中で息苦しくならないように、地上の空気を送り込むような振る舞いです。

 息絶えた人が、今更息苦しくなるはずはありません。子ども心にその光景を見て不思議に感じていました。ただ、玄関のチャイムとかドアをノックするように、お参りに来たことを亡くなった人に、何とか伝えたいという思いが、そうさせたのかもしれないと、今になって思っています。

 そんな時、次のような歌に出会いました。「やわらかに 骨が息する『息ぬき』の 土の枡あり 故郷の墓地に」東京の松本知子さんが新聞に投稿していたものです。松本さんの故郷がどこなのかは分かりません。また、「土の枡」というのも具体的には分かりません。しかし、「息つき竹」と同じような意図で設置されているものと思われます。この竹や枡が全国的な葬送の習俗かどうかはともかく、死者に対する日本人のゆかしい心情に思えます。

 死んで埋葬された或いは、骨になったといっても、即座にそれを納得できる人は少ないでしょう。納得できたとしても、どこかで亡くなった人ともつながっていたいというのが、偽らざる気持ちです。

 その最たる現れは、お盆の行事でしょう。迎え火や灯篭を我が家の目印として、亡き人が迷わず家に戻ってこられるようにと気を配ります。夏の野菜やくだもの、そうめんなどを供えてのご馳走。何より普段は遠くにいる家族も戻ってきて、揃って笑顔で出迎えるというおもてなしがあります。死んだ人が息を吹き返すとは、もはや誰も思っていません。ただ、私がこうして現在あるのは、あなたのおかげですと伝えたいのです。普段はせわしない生活に追われていても、あなたと私は今もつながっていると納得できた時、私たちは一息付けます。あなたの懐かしい声が聞こえ、笑顔がよみがえるからです。お盆は生きている者にとっての「息つき竹」ともいえるかもしれません。

 ここでお知らせ致します。7月のカンボジア・エコー募金は、216回×3円で648円でした。ありがとうございました。

 それでは又、8月21日よりお耳にかかりましょう。

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