テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第1058話】「へその緒」 2017(平成29)年5月11日-20日

住職が語る法話を聴くことができます

1058_1.jpg お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1058話です。
 物の中央や重要なポイントを「へそ」ということがあります。へそは人間にとっても大事なところです。赤ちゃんは母親のおなかの中で、その胎盤とへその緒でつながっています。母親の血液から、赤ちゃんが成長するのに必要な酸素や栄養が、へその緒を通じて赤ちゃんに送られるのです。へその緒は、私たちの生命の源であり、親子の絆でもあります。
 その「絆―へその緒」と名付けられた石の彫刻作品が、徳本寺中浜墓地跡の千年塔の隣りに設置されました。これは東日本大震災からの復興を願ったアート作品を寄贈するために兵庫県加西市で開かれた「5大陸国際彫刻シンポジウム」で制作された作品の一つです。この実行委員会代表の兵庫県の彫刻家牛尾啓三さんは、震災3年後に宮城県をはじめとする被災地を訪れました。昔から町や集落には、地蔵さんや道しるべがあって、人々を静かに見守っていたということを思いました。そして、世界各地の彫刻家に呼びかけて、作品を東日本の被災地に届けようと発願しました。現代の地蔵さんになって、復興を応援しようということです。
1058_2.jpg  「世界の人々は東日本大震災を忘れない、復興を応援したい」という想いに賛同する彫刻家が、日本の牛尾さん他、アメリカ、オランダ、スウェーデン、オーストラリアから4人参加しました。5大陸の作家の作品が揃い、縁あって徳本寺には、スウェーデンのイアン・ニューバリーさん制作の「絆―へその緒」が寄贈されました。花崗岩に彫られた高さ2メートル68センチ、重さ1.5トンもある存在感十分のものです。母と子をつなぐへその緒が力強く天に伸びていくように見えます。
 その場所は震災前は墓地があったところです。まわりの民家もすべて流され、災害危険区域になりました。しかし、日本でも最大級の五輪塔である千年塔が、鎮魂と復興の願いを込めて建てられました。大震災を忘れずに、後世に伝えてゆく絶好のスポットとなり、多くの方が訪れています。そこにこの度の「へその緒」です。大震災は母なる大地がもたらしたものです。母なる故に、大地は私たちの命の故郷であり、大地を離れて生きてゆくことはできません。どんな困難な状況が大地の上で展開されようとも、母なる大地には再生できる力があると信じます。
 大地に立ち、天を目指している「へその緒」という作品を見ていると、「辛いとき悲しいときは、このへその緒につかまりなさい。母親が赤ちゃんに必要な栄養を与えるように、大地はあなたに生きるエネルギー与えてくれますよ。うつ向かないで顔を上げましょう」と励ましてくれるようです。まさに復興のへそになってくれる予感がします。願わくは、大地よ、これ以上地震はたくさんですから、へそを曲げないで下さい。母の日にはカーネーションを飾りますから・・・。
 ここでお知らせ致します。4月のカンボジア・エコー募金は、163回×3円で489円でした。ありがとうございました。
 それでは又、5月21日よりお耳にかかりましょう。

最近の法話

【第1373話】
「金色身」
2026(令和8)年2月11日~20日

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1373話です。 金(ゴールド)の価格が高騰しています。1グラム2万7千円を超えて、時間ごとに変動しています。先行きの見えない不安定な世界情勢の時には、安全資産として求められているようです。それほど金は希少で高価なものなのでしょう。 昔ボランティアの縁で、タイ国を訪れたときに、あるお寺にお参りをした時のこと。たくさんの人が仏像に... [続きを読む]

【第1372話】
「仏前結婚式」
2026(令和8)年2月1日~10日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1372話です。 ちょうど71年前の昭和30年2月1日、山下村と坂元村が合併して、我が町「山元町」が誕生しました。その時から発行された「公民官報やまもと」を綴じたものを、物置整理中に見つけました。昭和48年までの150号分です。新しい町になり新生活運動の息吹がそこかしこに感じられる紙面です。 ... [続きを読む]

【第1371話】
「520足の靴」
2026(令和8)年1月21日~31日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1371話です。 「むずかしいことをやさしく やさしいことを深く 深いことをおもしろく おもしろいことをまじめに 書くこと」と言ったのは作家の井上ひさしさんです。まさにそのような姿勢を、堅いニュースを伝える際にも貫いたのは、久米宏さんです。 フリーアナウンサーの久米宏さんが81歳で亡くなりまし... [続きを読む]