テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第865話】「辰年の達人」 2012(平成24)年1月1日-10日

住職が語る法話を聴くことができます

865_1.jpg お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第865話です。
 あけましておめでとうございます。
 思い起こせば、昨年の正月は誰もが穏やかに過ごしていました。よもや東日本大震災が起こるとは夢にも思いませんでした。自然界の逆鱗に触れたかのような、大災害の傷は今も癒えません。そういえば「逆鱗」とは、龍の身体の一部で、喉の下にある一枚の逆さに生えた鱗(うろこ)のことだそうです。ここに人が触れると、龍が大いに怒るという伝説から、目上の人を激しく怒らせる意味になったということです。そして、今年は龍、辰年です。昨年あれだけのことがあったのだから、今年の龍にはおとなしくしてもらいたいというのが、万人の願うところでしょうか。
 ご安心下さい。龍は仏法の守護神でもあります。インドや東南アジアでは、龍はナーガと呼ばれ、蛇の王者をあらわしています。寺院を始め、建物の至る所にナーガの彫り物が施されています。日本でも、本堂の中や仏具に龍の姿が見られます。龍神という水を司る神としてもお馴染みです。雨を降らせ豊作をもたらすめでたい動物とされています。勿論想像上の動物ではありますが、仏法を護るとか、水を護る存在であるという位置づけは、人々から畏敬の念をもたれているということでしょう。逆に言えば、仏法も水も人々にとってなくてはならないものである。いかなる時も、護っていかなければならない。そのために、人間とはかけ離れた力を龍に与えて、守護神としたのではないでしょうか。
 しかし、「逆鱗」です。大いなる力を誇る龍とはいえ、逆さに生えた鱗に触れられたらたまりません。さてその「逆鱗」とは何でしょう。私たちは龍に仏法を護らせるだけで、自らは仏法を顧みないことがあります。さすがに正月3ガ日くらいは、「今年こそは」という殊勝な気持ちで過ごすかもしれません。しかし、あっという間に、漫然とした我がまま三昧の日送りをしがちです。何事もなければそれでもいいかもしれませんが、昨年の私たちはそんな日送りをどれだけ後悔したことでしょう。私たちの自分勝手な逆さまな心は、そのまま逆さに生えた鱗に通じ、「逆鱗に触れる」ことになります。元旦に誰もが特別で新しい1日と思ったように、それが、1カ月経とうが2カ月経とうが、「日々元旦」という気持ちを忘れずに、今為すべきことをしっかり行うことが仏法でのいうところです。2カ月後には3月11日がやってきます。きっと正月以上に特別な日と思うはずです。
 「今年こそは」ではなく、日々「今日しかない」という強い気持ちで生きるなら、龍にも護られることでしょう。今為すべきことのために、時に人の役に立つ人であったり、時に元気に奮い立つ人であったり、年にあなたはどんな人になりますか。先ずは、わがままな煩悩を断つことも大事です。
 それでは又、1月11日よりお耳にかかりましょう。

最近の法話

【第1371話】
「520足の靴」
2026(令和8)年1月21日~31日

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1371話です。 「むずかしいことをやさしく やさしいことを深く 深いことをおもしろく おもしろいことをまじめに 書くこと」と言ったのは作家の井上ひさしさんです。まさにそのような姿勢を、堅いニュースを伝える際にも貫いたのは、久米宏さんです。 フリーアナウンサーの久米宏さんが81歳で亡くなりました。TBSアナウンサーとしてクイズ番... [続きを読む]

【第1370話】
「馬連」
2026(令和8)年1月11日~21日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1370話です。 孫悟空でお馴染みの『西遊記』は、中国・唐の時代の玄奘三蔵法師のインド旅行記がもとになっています。インドで仏教を学び「大般若経」600巻を持ち帰り、漢文に訳しました。今から1300年以上前の663年のこと。そのうちの578巻目を「理趣分経」といいます。日常生活の中で仏に根差した生... [続きを読む]

【第1369話】
「白い馬」
2026(令和8)年1月1日~10日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1369話です。 あけましておめでとうございます。今年はうま年ですが、お釈迦さまには長年一緒に過ごしたカンタカという白い馬がいました。奇遇なことにお釈迦さまと同じ日に生まれました。更にその馬の世話をしていた御者のチャンダカも同じ日に生まれています。お釈迦さまは釈迦族の王子として生まれ、カピラ城に... [続きを読む]