テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第806話】「モーニング・コール」 2010(平成22)年5月11日-20日

20100510_50.jpgお元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第806話です。
私の中学・高校は汽車通学でした。朝6時に自転車で家を出て駅に向かうためには、5時には起床しなければなりません。しかし、目覚まし時計を使った記憶がありません。それでも、6年間は無遅刻無欠席で通い通しました。
私は決して勤勉でもなければ、早起きのために努力をしたわけでもありません。ただ、当時私には、全幅の信頼をおけるモーニング・コールがあったのです。それは母親です。毎朝5時になると、階段の下から名前を呼んで、起床を促す母親の声がするのです。目覚まし時計のベルなら、いくら鳴っても止めて、また寝てしまうということもあります。しかし、母親の声ともなると、手で止めるわけにもいかず、わざわざ自分のために早起きをして、声をかけてくれていると思うと、起きないわけにはいかなくなるものでした。
40年以上も経った今でも、あの時のモーニング・コールには、頭が下がります。母親の子どもに対する思いの深さを、あらためて感じます。どなたも親なれば、子どもに対する似たような情愛があろうかと存じます。『仏説父母恩重経』の中に、「己(おの)れ生きている間は、子の身に代(かわ)ちんことを念(おも)い、己れ死に去りて後は、子の身を護らんことを願う」とあります。親は生きている限り、自分の身を賭してでも子ども第一に思い、死んでも尚、子どもを護りたいと願うというものです。
ある本にあった言葉です。「努力しないで手に入るものなど 親から注がれる愛情ぐらいのものです」。なるほど、親は無条件に、無心になって、子どもに愛情を注ぎます。当然の如く、親の愛を受けるために、努力する子どもなどいません。私もそうでした。
5月は「母の日」があり、たまたま12日は私の母の誕生日でもあります。生きていれば81歳を迎えたはずなのですが・・・。親が生きている時、努力もしないで親の愛情を受けてきました。親を亡くして、どんな努力をしてその恩に報いたらいいのかと思った時、ささやかですが、毎朝両親のお墓に線香を手向けてお参りをしようと決め、現在まで実行しています。私から亡き両親へのモーニング・コールのつもりで・・・。
ここでご報告致します。4月のカンボジアエコー募金は、77回×3円で231円でした。ありがとうございました。
それでは又、5月21日よりお耳にかかりましょう。

最近の法話

【第1371話】
「520足の靴」
2026(令和8)年1月21日~31日

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1371話です。 「むずかしいことをやさしく やさしいことを深く 深いことをおもしろく おもしろいことをまじめに 書くこと」と言ったのは作家の井上ひさしさんです。まさにそのような姿勢を、堅いニュースを伝える際にも貫いたのは、久米宏さんです。 フリーアナウンサーの久米宏さんが81歳で亡くなりました。TBSアナウンサーとしてクイズ番... [続きを読む]

【第1370話】
「馬連」
2026(令和8)年1月11日~21日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1370話です。 孫悟空でお馴染みの『西遊記』は、中国・唐の時代の玄奘三蔵法師のインド旅行記がもとになっています。インドで仏教を学び「大般若経」600巻を持ち帰り、漢文に訳しました。今から1300年以上前の663年のこと。そのうちの578巻目を「理趣分経」といいます。日常生活の中で仏に根差した生... [続きを読む]

【第1369話】
「白い馬」
2026(令和8)年1月1日~10日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1369話です。 あけましておめでとうございます。今年はうま年ですが、お釈迦さまには長年一緒に過ごしたカンタカという白い馬がいました。奇遇なことにお釈迦さまと同じ日に生まれました。更にその馬の世話をしていた御者のチャンダカも同じ日に生まれています。お釈迦さまは釈迦族の王子として生まれ、カピラ城に... [続きを読む]